異例のヒットを続けている『この世界の片隅に』/[c]こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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こうの史代による同名コミックを映画化した『この世界の片隅に』(公開中)が異例の大ヒットを続けている。第二次世界大戦のさなか、広島から呉へと嫁いでいく主人公・すずの声を、女優・のんが務めたことが公開前に話題になったが、公開から1か月以上経った今でもその過熱ぶりはさらに加速している!

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大作映画のような大規模な宣伝も行えず、上映館が63館という比較的小規模でスタートした本作は、公開1週目の動員ランキングで大健闘の10位にランクインした。通常の映画興行は1週目〜2週目に動員のピークを迎えるが、本作は3週目でまさかの6位にランクアップ。さらに4週目には4位と日を追うごとに右肩上がりに動員数が増えていった。この状況を見た全国の劇場関係者から問い合わせが殺到し、公開の3週目に上映館が一気に83館へ増え、年末年始には当初の3倍となるおよそ180館での上映が決定している。

ここまで異例のヒットを記録した要因として挙げられるのが、作品のクオリティの高さ。戦前・戦中の広島や呉に住んでいた庶民の生活を細部にわたるまで描き込んだ映像と、戦争という非日常下で懸命に生きようとするすずをはじめとした登場人物が織りなす人間ドラマが幅広い世代からの共感を獲得。TwitterやFacebookなどのSNSで絶賛の声が拡散され、より広い観客層に本作の存在を知らしめた。

本作の過熱ぶりについて配給会社の東京テアトルに尋ねてみたところ「ここまでのヒットは予想を超えています」とコメント。ヒットの要因については「クラウドファンディングに参加してくださった方々の制作中からの熱心なSNSでの発信、毎回満席となったマスコミ試写会など事前にご覧いただいた方々がメディアで取り上げてくださったり、SNSで発信してくださったことが一番です」と分析している。

また、「20回ご覧になったという方もいらっしゃいます。細部まで描きこまれていて、見る度に新たな発見がありますとおっしゃる方が多いです」とリピーターの多さもヒットの一因ではないか、と語ってくれた。

日本の映画の歴史を振り返っても、こんなヒットの過程を経た作品があっただろうか。年末年始も、まだまだ『この世界の片隅に』の話題は尽きなさそうだ。【トライワークス】