夫と交われない、祖母が認知症…切実だから笑ってほしい!【山本ゆり×こだま対談】

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 その衝撃的なタイトルと、ひとりの女性の切実な半生を描いた中身とのギャップで、来年1月18日の発売前から大きな話題を呼んでいる私小説『夫のちんぽが入らない』著者のこだまさん。

 そして、料理ブロガーとして人気を博しながら、家族や友達との愉快な毎日を描いたブログも評判となり、エッセイ集『syunkon日記 スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件』が好評発売中の山本ゆりさん。

 一見、性格も作風もまったく違う2人が、夫婦、そして家族をテーマに話してみたら、意外にも意気投合。初対面ながら大いに盛り上がりました。

◆深刻な家庭の事情もユーモラスに描きたい

――まずは、お互いの本をお読みになった感想を聞かせてください。

山本ゆり(以下、山本):最初は、その壮絶な内容に衝撃を受けたんですが、最後はめっちゃ泣けて、読み終わってすぐ友達にも読ませたいと思いました。

こだま:ありがとうございます。

山本:やっぱり『夫のちんぽが入らない』というタイトルの力がすごい。つらい経験って、自虐やユーモアを交えずにそのまま書いてしまうと、ひたすら暗い気持ちになるじゃないですか。でも、「ちんぽ」ってみんながつい笑っちゃう言葉だから、少しマイルドになるというか。

こだま:私自身は、これまで生きてきて「ちんぽ」なんて言葉を言ったことも使ったこともないんですけどね。恥ずかしいタイトルを付けたんだから、あとは中に何を書いても恥ずかしくないぞ、という開き直りがありました。

山本:「入らない」というのもいいですよね。これがたとえば「勃たない」とかだったら、まだ「ふーん、そうなんだ」って思うだけだったと思うんです。「入らない」という言葉だからこそ、「え、どういうこと!?」と興味を引かれる。

 そして、さまざまな場面で世間から“普通”“当たり前”とされていることができないというこだまさんの苦しみが、「入らない」という一語に象徴されているように思いました。

こだま:それは嬉しいです。でも、山本さんの本『syunkon日記 スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件』でも、借金取りから逃げておうちに帰ってこなくなったお父さんの話が、すごく明るくサラッと書かれていて、暗いトーンにならず、悲壮感なく読めるのがいいなと思いました。

山本:いやあ、一緒にしていただくのはおそれ多いですよ。こだまさんこそ、どうして深刻な話をあんなに痛々しくなく、ユーモラスに描けるんですか?

こだま:基本的に、深刻な話をするのが恥ずかしいんです。だから、「ちんぽ」とかで茶化さないと書けないんですよ。

山本:ああ、でもその気持ちはわかります。私も、深刻な話や、祖母の認知症の行動なんかは友達に面白おかしくしゃべってネタにすることで昇華していたような気がします。

◆恥ずかしいこともネタにして楽しませたい

――こだまさんは、子供の頃から人と接するのが苦手だったそうですが…?

こだま:ええ、人の輪に入っていけなくて、はしっこにいるほうが落ち着く人間でした。親からも周りと比べられることが多くて、「自分はダメな人間なんだ」という思い込みがどんどん強くなって、どもりや赤面症になってしまって……。

――山本さんはどんな子供でしたか?

山本:私も赤面症でした(笑)。

こだま:山本さんは明るくて社交的で、私とは正反対のタイプだと思っていました。

山本:たしかに、もし私が子供の頃に死んでいたら、周りからは「活発で明るい子でした」って言われるタイプだったと思います(笑)。でも、自分の中ではめっちゃ気にしいでした。

こだま:意外です。

山本:小さいことでいえば、髪の毛がおかっぱだったこととか、母親のことをママっていうのが周りで私だけだったこととか、運動神経が悪かったこととか、他にもいろいろコンプレックスだらけで。それで、一度赤面すると、余計に恥ずかしくなって。