奥には、中国国有資源大手・中国冶金科工集団(MCC)がリース契約したメス・アイナク銅山の開発のためのテントが見える。手前は、仏教遺産の採掘を急ぐ考古学者たち。2011年撮影(Jerome Starkey/Flickr)

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 イスラム地域の旧支配勢力で過激派組織「タリバン」は公式サイトで、中国と契約していた30億ドルの未開発銅山の開発プロジェクトに「ゴーサイン」を出した。鉱山近くには紀元前の仏教遺跡があり、開発により破壊されると懸念されている。アフガニスタン政府は、タリバンの主張を否定している。

1兆ドルの価値 中国が契約した銅山開発

 文化や環境の破壊行為では、中国共産党に共通点を見出しているのかもしれない。タリバンはサイトで11月29日、「イスラムの国に利益をもたらす国家的プロジェクトを保護する」と発表した。それには、中国国有資源大手・中国冶金科工集団(MCC)がリース契約を結んだ、メス・アイナク銅山の開発も含まれている。

 メス・アイナクは世界で2番目に大きい未開発銅山とされ、銅の量は推定600トン。雇用など開発でもたらされる経済効果は最高1兆ドルと考えられている。アフガン政府とMCCは2008年、銅山の権利を30億ドルで30年契約した。

 アフガニスタン政府は、CNBCの取材に対して、タリバンの主張を認めないとの見解を発表した。「タリバンは国家プロジェクトを保護したりしない。テロ集団のかかわる仕事はない」とJavid Faisal報道官は述べた。「この15年間で、タリバンは高速道路を襲撃し、橋を破壊し、学校、大学、病院を燃やしてきた」と同報道官は付け加えた。

2011年、メス・アイナク遺跡で見つかった舎利塔(US Embassy Kabul Afganistan/Flickr)

タリバン 開発のゴーサイン、支持率回復狙いか

 

 この銅山開発は7000人の雇用を生み出し、12億ドルの経済効果をアフガンにもたらすとされる。スタンフォード大学のロバート・クリューズ教授の分析によると、タリバンによる「国家プロジェクト保護」の発表の意図は、アフガンとイスラム教徒からの支持を集める目的があるとみている。

 2001年、タリバンは紀元前6世紀に建てられたバーミヤンの石窟の仏像を爆発で破壊し、イスラム教諸国を問わず世界中から非難を浴び、支持者が激減した。

 2012年12月末から銅山開発は始まる予定だったが、いまだ着手していない。それは、開発契約の締結後に発見された、2600年前の古代の仏教都市の遺跡の存在と、テロによる安全性の懸念が要因だ。

締結後に発見された 2600年前の仏教遺跡

 メス・アイナクは2010年、巨大な寺院や数千体の仏像、当時の生活を知る古書など歴史的遺産が多数残されていたことが、考古学の研究で明らかになった。

 米ノースウエスタンのブレント・ハフマン大学教授はこの歴史的遺産が銅山開発によりほとんど破壊されてしまうと警鐘を鳴らし、問題の周知のためにドキュメンタリー映画を作成している。同教授は2012年、CNNの取材に対して「MCC、世界銀行、アフガニスタン政府は一刻も早く鉱山に着手することばかり望んでいる」と、文化遺産への軽視を批判した。

 メス・アイナクの保護チーム代表者Qadir Temori氏は「この古代遺跡を保護するのに、私たちは命を懸けている」と述べている。2014年、タリバンにより、同地区で8人の現場労働者が殺害されている。

 このたびのタリバンの「国家プロジェクトの保護」表明は、中国の手掛ける銅山開発を指すのか、アフガン政府が保護指定する仏教遺跡を指すのかは、明らかではない。

(翻訳編集・佐渡 道世)