工場をバックにS660と記念撮影する水村リア

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レースクイーンという仕事をキッカケにモータースポーツに関わるようになり、今まで関わる事が少なかった車に数多く触れるようになったここ数年。魅力的な車は星の数ほど出会ってきたけど、私「水村リア」が、人生で初めて「この車、楽しい!欲しい!」と思ったのは、ホンダのS660を初めて運転した時でした。S660に乗るなら、絶対MT(マニュアル・トランスミッション)で楽しみたい! 今までオートマ限定免許で満足していた私は、この夏運転免許の限定解除に踏み切りました!

【写真を見る】S660が出来上がるまでのムービーに興味津々の水村リア

「こんな車待ってました!」「ホンダといえばスポーツカーでしょ!」来年4月に満2歳を迎え、発売以来すくすくと沢山のユーザーに愛され育ってきた「S660」。軽自動車規格の小さなボディを感じさせない、スポーティーなルックス。きびきび動いて、どんな道でもスムーズに通り抜けるのはお手の物。この「軽自動車のスポーツカー」の愛くるしさに惚れ込み、手間隙を惜しまないユーザーさんが全国に数多くいらっしゃいます。

いつか絶対、MTの黄色いS660のオーナーになるんだ!という目標をかかげて貯金の日々を送っている私は「そんな愛されキャラの秘密は一体どこから生まれるのかしら? もっとS660を知りたい!」と思い、S660生産の地である三重県「八千代工業四日市製作所」で毎月1回開催されている「四日市製作所 工場見学 〜 S660 Factory Tour 〜」にお邪魔してきました!

■ 受付すぐに定員が埋まるほどの人気の工場見学

「八千代工業四日市製作所」は、本田技研工業からS660をはじめ、軽自動車「アクティ」「バモス」の製造を受託する工場。過去にはS660のご先祖様にあたるような「ビート」の生産も行っていた、歴史ある自動車生産メーカーです。近くの道路にはS660の看板も飾られ、道路を隔てて広がる敷地では、沢山の方が常駐し毎日世に車の「FUN」を送り出すべく作業されています。

その八千代工業が「つくり手として、オーナー様にもっと喜んでいただくことができるのでは?」と考え企画したのが、設立以来初となる工場見学でした。

今年10月から開始した工場見学の参加費はなんと無料! S660オーナーでなくても参加はできます。ですが1回あたり20名限定で、応募は専用ホームページからのみで先着順。受付開始後すぐに締め切られてしまうほどの人気ぶりです。

今回は11月23日に行われた第2回目の見学会にお邪魔したのですが、参加された皆様のほとんどがS660ユーザー!(他社の車に乗られている方もいらっしゃいました)。駐車場にはそれぞれカスタマイズされた個性が光るS660が並び、その光景を見るだけで、すでにワクワク!! 参加される方々も小さいお子さんを連れたお父さんや、若い男の子。年配の男性やご夫婦、更には若い女の子まで! 集まった方々を見ても、S660が幅広い方々に愛されているのが分かります。わたしも今回、白いS660を借りて参加しました!

■ 工場はおおきく4つの区画に分類

工場見学ツアーの始まりは、まず八千代工業のお勉強から! 1953年、塗装に始まったホンダとの付き合いは60年以上にわたり、1972年からはホンダ車の受託生産を始めた同社。今ではホンダ車をベースとした福祉車両の製造も行っているという新たな発見をする事ができました。歴史ある八千代工業で今生み出される車両や部品は、身近な所で私達の車と共にある生活を支えてくれています。

八千代工業の歴史を学んだ後は、皆さんが待ち望んでいる生産工場の話へ。工場内は大きく「溶接ライン」「塗装ライン」「組立ライン」「完成車検査ライン」の4つに分かれており、「溶接ライン」と「塗装ライン」は、残念ながら今回は見学する事の出来ないエリアというわけで、ビデオでその様子を見ました。

まず車の骨組みが出来上がる「溶接ライン」ですが、ここでは人とロボットが共に溶接を行い、段々車の形が出来上がっていきます。そして骨組みが出来上がると「塗装ライン」へ。車がプールの中へドボンとダイブ! その後、ロボットによる塗装、その後、細かい部分を人の手によって塗られていきます。塗装と言っても、鉄板のボディに直接色を付けるのではなく、塗料の密着を高める処理や錆を防止する塗装など、大きく4回の工程が行われます。車が形になり、彩られる大事な過程。いつか間近に見学できるようになると嬉しいです。

■ 生産現場のすぐ横を歩きながら見学!

ビデオ上映が終わると、いよいよお待ちかねの工場内へのツアーが開始になります。

見学させていただくルートは、工場見学の為に設けられた施設内や通路ではなく、なんと作業されている作業現場のすぐ横を歩きます! まさに工場の空気を肌身で感じ取ることができます。工場内は「車の工場」から想像していた機械音や匂いなどの騒々しさはなく、作業に必要なパーツが整然と並び、思っていたよりもスッキリとした印象を受けました。

「組立ライン」「完成車検査ライン」の作業後半2つのラインのうち、最初に見学をしたのは、約1500点の部品を取り付けるという「組立ライン」から! この「組立ライン」はS660から軽トラックまで、様々な車体が一緒に流れてきます。車の形に溶接され塗装されたボディが、専用のハンガーで吊るされながら運ばれて来ます。最初に見たのは「心臓部分」といえるエンジンの装着。リフトを使って、ボディの下側から持ち上げられ車体の所定位置へ。その後、工員がすばやく、そして正確に上から下から固定していきます。

続いて、別の方がサスペンションを含む足回りの取り付けを行います。足回りはスポーツカーにとって大切な部分!実際にクルマが接地しているのと同じ状態になるよう、上側へ加重(1G)をかけて組み上げるのですが、S660専用に新開発した冶具を用いて、より正確に接地状態を再現して締め付けるというこだわりっぷり!

運ばれてくるボディの車種はバラバラ、しかもラインがゆっくりと動いたまま、その都度運ばれる車種に合わせたエンジンや足回りを取り付けなければなりません。が、熟練された担当さんにはお手の物!次々と車に命が吹き込まれていきます。その様子にお子さんも目が釘付け!「すごい!」とその匠の術に驚いていました。

■ ほとんど手作業!まさに匠の世界

場所を移動し、車内部の速度計などが設置されているインパネやフロントガラスが取り付けられる作業ラインへ。2人がかりで取り付けられるフロントガラスは、すこしのずれも許されない一番スキルの要る部分だとか。息を合わせ、S660のフロントガラスが設置されるのを間近で見る事が出来ました。その様子を見て、感心の声をあげる方も。

このラインでは、別の作業員がハンドルや椅子など、様々な内装部品を取り付けていくのですが、オプション設定によって、細かく異なるのはもちろん、細かな作業が多いので、相当レベルの高い作業力が求められるんだそうです。このような高度な技術と経験が必要な作業でも、八千代工業の作業員は常に技術力を追及していて、複数の作業エリアを担当できるよう訓練しているそうです。誰もがどの作業を担当してもプロフェッショナル!という事ですね。

「組立ライン」で完成された車はエンジンをかけられ、通路を「はじめてのおつかい」ならぬ「はじめての自走」を経て、通路数十メートル先にある「検査ライン」へ。その様子に見学者の皆さんが嬉しそうな声をあげる姿が。我が子が初めて自分の足で歩いた感動に似ているとおっしゃる方がいらっしゃったのが印象的でした。

■ 1台づつ手際よくチェック。そして最後は水洗い!?

「検査ライン」では、車が真っ直ぐ走るかどうかのアライメントチェックやブレーキの確認など、安全面のチェック。作業者が車に乗り込んで、モニターに映し出されるチェック項目どおりに車を操っていきます。

床下にも作業員がいらして、手際よく足回りの調整作業などを行っていました。

続いて車版のランニングマシンの様な装置の上を走り走行チェック。変速やキックダウン、そしてスピードメーターに表示されている速度と実際の速度にズレがないかなどを確認していきます。

傷の有無などの検査を行い、最後に自動洗車機のような装置の中に車を通し、車体の水漏れチェックを行い検査が終了。沢山の作業員の手により手分けされ組立られ、命を吹き込まれ、S660の生まれる瞬間を見る事が出来ました!

■ 作り手と使い手が談笑。食堂にはオーナーからのメッセージボード

こうして工場内の見学ツアーが終わると食堂へ。そこでは案内をしてくれた作業員と工場見学で参加者が談笑されていました。自分達の元を旅立っていったS660がどれだけオーナーさんに愛されているのか、大事にしているS660がどんな想いで作業員に作られたのか、乗り手と作り手がS660を通じて理解しあう素敵な光景でした。

壁に目を向けると、そこには大きなボードが。S660が1周年記念を迎えた時に八千代工業で開催されたオーナーイベントで、八千代工業に向けて書かれたメッセージボードでした。「こんなに日常を楽しくしてくれる車を作ってくれてありがとうございます!」そんな素敵なメッセージが沢山集められたボードは、作業される皆さんの毎日の大きな活力になっているそうです。作業員の方に話を伺うと「もっと沢山の人を感動させられるように、愛情込めて日々S660を作っていこう」とメッセージボードを見る度に、気持ち新たに作業に取り掛かれるそうです。

■ 見学後、作業員の心にも変化が

最初に案内された部屋へ戻ると、入り口にはS660への想いを綴ることができるメッセージボードが用意されていました。S660の生まれ故郷を訪れ、目の前で少しずつ出来上がる姿を見て「更に好きになりました!」と書き込むユーザーさんが多くいらっしゃいました。

その様子をニコニコしながら見ていた女性社員さん。昔は車にさほど興味もなかったんだそう。ところが工場見学が実施され、沢山の方から喜びのメッセージをもらい、自分達が手がけたS660が本当に沢山の方から愛され乗られていることを感じたとのこと。今ではとても嬉しく誇りに思うようになったそうです。

以前、私はS660の開発陣の方達のお話を聞く機会があったのですが、その時に感じた開発者さん達の想いと愛。「人生最後の車にしたいと思ってもらえるぐらい、愛される車を作りたいと思って想いを込めて開発した車です」という言葉が忘れられません。その開発の想いは作り手まで伝わり八千代工業へ。工場というと機械作業がほとんどを占めているイメージですが、人の手による作業がとにかく多い! その分、作業員さんの気持ちや愛情が込められ、そして開発者の想いも詰まってユーザーの手に渡っているからこそ、オーナーに愛されるS660なのだと感じました。

■ 「車」に興味を持ってもらえる感動的な経験となるはず!

オフィスビル入り口に飾られていた一台のS660。八千代工業の工場生産ライン第1号車、いわば日本中のS660ファミリーの長男が沢山のメッセージでボディを覆われ、陽の光を浴びながらキラキラ輝いていました。そのボディを覆う数々のメッセージは、S660に携わった方々のアツい想い。一つ一つ読むのが大変なぐらいそれぞれの思い入れの場所に書き込まれ、S660に関わる全ての方の愛情を隅々まで感じました。ここまで愛されている車、今まで出会った事あったかな?

作り手にも愛され、想いが沢山込められた手作業によって作られる一台は、乗り手であるユーザーさんの愛情をたっぷり注がれ大事にされる車になるのだと、八千代工業さんの工場見学をもって知る事が出来ました。この八千代工業さんによる工場見学ツアー、S660のオーナーに限らず誰でも楽しんで、そして感動してもらえるはず。何気なく普段通りすぎる車一台一台には、その車のオーナーさんの愛はもちろん、車という形になるその場所でも沢山の人の愛情が込められ作られているのだと実感する事が出来るでしょう。車好きの方は車がもっと好きに、そうでない方にもなかなか経験できない工場見学という経験を通して「車」に興味を持ってもらえる感動的な経験となること間違いナシです!

工場を訪れた私は、S660貯金のやる気も一気にアップ!!次回は絶対、オーナーとして自分好みにカスタムしたS660で、生誕の地を堪能するべく八千代工業を訪れることを約束します! 【文:水村リア/ウォーカープラス編集部】