FC東京U-18所属の久保は、J3に出場し、経験を積んでいる。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 2017年はU―20代表とU―17代表が揃ってユース年代のワールドカップに出場する。そこで注目されるのが、15歳の逸材・久保建英がふたつの大会に出場するか否かだ。日本協会の思惑、そして猗瑤啜〞招集の効果と問題点について考察した。
 
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 2017年、U―17とU―20のワ ールドカップ(以下W杯)がそれぞれインドと韓国で開催される。日本はその両大会に代表チームを送り込むことになる。
 
 同一年にふたつの世代が世界大会に揃って出場するのは07年以来、実に10年ぶりだ。当時は内田篤人(シャルケ)、柏木陽介、槙野智章(ともに浦和)ら狡柑匸茲蠕ぢ〞と呼 ばれたU― 20代表と、柿谷曜一朗(C大阪)、鈴木大輔(ヒムナスティック)、 山田直輝(湘南)らを擁する狆詈 ジャパン〞のU―17代表が世界の舞台で戦った。
 
 さらに来年にはU―15、U―18 代表が19年の世界大会を目指して新たに立ち上がり、 4つの年代別代表が並行して活動する。日本協会のスタッフは皆一様に「久しぶりだからい ろいろと大変だ」と言いながらも、その表情はなんとも嬉しそう。いう忙しさなら大歓迎だろう。
 
 それに合わせ、忙しくなりそうな選手もいる。久保建英(FC東京U―18)は、12月のアルゼンチン遠征でU― 19代表に初招集され、チームに帯同。15歳にして19歳以下のチームに入るという、飛び級措置を受けた。過去には、04年に当時16歳だった森本貴幸(川崎)がU―19代表に入った例があるが、久保の年齢はさらにひとつ下。異例と言うほかない。
 
 U―19代表を率いる内山篤監督は、以前から年代別代表の意義について、「将来的にA代表に選ばれそうな、教えられないモノを持っている選手に少しでも良い国際経験を積ませること」と語っており、積極的に下の世代の選手を抜擢してきた。

 10月のU―19アジア選手権には高校2年生の中村駿太(柏U―18)、若原智哉(京都U―18)のふたりがU―17世代から飛び級招集。アルゼンチン遠征には、同じく高校2年生の橋岡大樹(浦和ユース)が呼ばれており、大迫敬介(広島ユース)も以前から有力候補に挙がる。

 これほど下の世代の選手が起用されるU―19代表は過去にないが、これは日本協会が推進しているプロジェクトの一環なのだ。

 年代別代表担当ダイレクターを務める木村浩吉氏は、「あくまで最後に決断するのは監督の仕事」としながらも、「監督にその気があるならば、下の世代の選手を引き上げることに 迷いはない」とも言う。周りのレベルに合わせて成長が止まる、いわゆる狹薫羝果〞を排除するとともに、 下からの突き上げによって上の世代の成長を促す意図もある。その相乗 効果で日本サッカー全体のレベルアップを図る考えだ。
 当然ながら、こうした施策の先には2020年の東京五輪がある。過去の五輪を鑑みても「5〜6世代が融合したチームになる」(木村ダイレクター)ため、4年後を見据えて世代間の壁を取っ払う必要がある。内山監督が「マイナスから入るなら、(久保招集は)ない話」と語るのはこうした観点からだ。現時点の久保を評価すればU― 19代表で戦うために足りないモノは多い。ただ、先を考えると「あり」という判断だ。

 こうなると、「各年代の代表チームの監督が選手を取り合うのが一番まずい」(木村ダイレクター)わけだが、「公式の国際大会は別に検討するが、基本的には上の世代に招集の優先権がある」(同)ことも確認済み。よって、久保はもちろん、来年立ち上がるU―18代表世代の中村や若原らも、内山監督が望むのであれば、U―20代表での活動が優先されることになる。