今冬の中国では例年以上の深刻な大気汚染が発生。最悪レベルの「赤色警報」が今年初めて各地で発令された。インドの大気汚染も同様に深刻で、急速に工業化が進む国に共通している。写真は北京。

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2016年12月23日、今冬の中国では各地で例年以上の深刻な大気汚染が発生している。北京では16日から21日まで、4段階のうち最悪レベルの「赤色警報」が今年初めて発令された。日本では大きく報じられないが、インドの大気汚染も深刻。急速に工業化が進み、経済発展する国に共通の悩みでもある。

中国の大気汚染に関する警報は、上から「赤」「オレンジ」「黄色」「青色」の4段階。「赤色警報」下の北京の一部では、発がん性が指摘される微小粒子状物質(PM2.5)の濃度が1立方メートル当たり、300マイクロ・グラム(日本の環境基準は35マイクロ・グラム)を超えた。

中国メディアによると、北京周辺では「赤色警報」に伴い、石油プラント、冶金工場、セメント工場、火力発電所、インスタントラーメン工場など1200カ所の工場に操業停止、減産が命じられた。屋外での建築工事も強制的に停止。期間中、車の交通量を半分近くに減らすため、車のナンバーの末尾が日によって偶数か奇数のどちらかしか走ることができない措置が取られたほか、日本人学校を含むほとんどの幼稚園や小中学校が休校となった。

北京以外でも、天津市、河北省石家荘市、山西省太原市、山東省徳州市、河南省鄭州市など22都市が「赤色警報」を発令。河南省平頂山市、山西省呂梁市、山東省済南市など18都市が1レベル下の「オレンジ警報」となった。

中国当局も大気汚染対策には、ほとんどお手上げの状態。北京市政府は対策の一環として「北京市気象災害防治条例」の制定を進めているが、大気汚染を「気象災害」と規定しているため、専門家から「汚染物質の排出という人為的責任を看過しかねないミスリードではないか」との批判を招いている。香港メディアは「大気汚染の改善には今後1兆7500億元(約29兆円)規模の投資が必要との試算もある」とも報じている。

インドの首都ニューデリー周辺も事情は同じ。急激に都市化した結果、ディーゼルエンジンや石炭火力発電所、産業排出物に起因する大気汚染が進み、環境が年々、悪化している。

AFP通信などによると、デリー首都圏政府は11月初め、ニューデリー周辺のPM2.5の濃度が過去20年間で最悪の危険な水準に達していると指摘。市内の全学校を3日間臨時休校とした。粉じんをまき散らす建物の建設や解体工事を5日間禁止することなども決めた

今年5月に世界保健機関(WHO)が公表したデータによると、ニューデリーのPM2.5の年間平均濃度は世界約3000都市のうち11番目に高く、北京の約1.4倍に上った。濃度が高い20都市のうち、最悪だったのはイランの都市ザーボルだが、インドは半数の10都市を占め、中国(4都市)やサウジアラビア(3都市)を大きく上回っている。(編集/日向)