写真=アフロ

スピーキングの技術を身につけたいとき、上手な演説を真似るのが一番といわれる。スピーチライターの蔭山さんに、名演説を紹介してもらった。実際に声に出して練習してみよう。

デレク・シヴァーズ●Derek Sivers
2010年2月に開催されたTEDイベントで「社会運動はどうやって起こすか」のスピーチをおこなった。※下記はその一部
▼TEDとは
Technology、Entertainment、Designの略語。あらゆる分野のアイデアを世界に広めることを目的にした、アメリカの非営利団体。プレゼンイベント「TED Conference」を開催。プレゼンの動画はサイトで無料配信している。(https://www.ted.com)

 

▼社会運動はどうやって起こすか Inaugural How to start a movement

Ladies and gentlemen, at TED we talk a lot about leadership and how to make a movement. So let's watch a movement happen, start to finish, in under three minutes and dissect some lessons from it.

みなさん、TEDでは、リーダーシップや社会の動かし方についての話をよくする。これからわずか3分の間に、社会運動が起きる様子をご覧いただき、そこから教訓を引き出そうと思う。

First, of course you know, a leader needs the guts to stand out and be ridiculed. What he's doing is so easy to follow. Here's his first follower with a crucial role; he's going to show everyone else how to follow.

最初に、リーダーには立ち上がり、バカにされる勇気が必要だ。だが、リーダーの行動の後に続くのは実に簡単である。ここに最初のフォロワーがいる。彼には重要な役割がある。彼は、ほかのみんなにフォローの方法を示している。

Now, notice that the leader embraces him as an equal. Now it's not about the leader anymore; it's about them, plural. Now, there he is calling to his friends. Now, if you notice that the first follower is actually an underestimated form of leadership in itself. It takes guts to stand out like that. The first follower is what transforms a lone nut into a leader.

リーダーが第一のフォロワーを自分と対等に扱うのをみてほしい。いま、リーダーはひとりではない。複数になったのである。友人に声をかけている。最初のフォロワーは過小評価されているが、リーダーシップの一形態なのである。こんなふうに目立つのには勇気がいる。最初のフォロワーが、ひとりのバカを、リーダーへと変えるのだ。

And here comes a second follower. Now it's not a lone nut, it's not two nuts - three is a crowd, and a crowd is news. So a movement must be public. It's important to show not just the leader, but the followers, because you find that new followers emulate the followers, not the leader.

2人目のフォロワーがやってきた。いまや、ひとりのバカでも、2人のバカでもない――。3人というのは集団であり、集団はニュースだ。だから運動は公になる。リーダーだけでなく、フォロワーが姿を見せることも大事である。なぜなら、新しいフォロワーたちは、リーダーではなくフォロワーを真似るからだ。

Now, here come two more people, and immediately after, ………(以下略)。

さらに2人が加わり、すぐ後に………(以下略)。

■映像を交え、文章は基本構造に則す

演説が、自分の考えを話し、自分自身をさらすものであるのに対し、プレゼンは自分自身ではない、モノやアイデアを紹介します。

TEDカンファレンスのプレゼンは動画アーカイブで視聴することができますが、話し方、動作、映像の使い方など、プレゼンに必要なあらゆる情報が得られ、非常に参考になります。

そのなかでも私のイチ押しが、デレク氏のプレゼンです。3分少々で社会運動が起こる理由を、フォロワーの重要性に特化して説明しています。

まずはぜひ、彼の自信に満ちた話し方――声のトーン、間の取り方をご覧いただき、何度も声に出して、身振り手振りまで真似てみてください。

プレゼンの基本構成は、先に事実を話し、スピーカーと聴衆が共通認識に立つことです。このプレゼンでも、最初に「3分間で」と伝え、映像を使いながらテンポよく事実を話し、盛り上げていきます。その後に意見を述べるわけですが、そこはもう解説になるので、話し方も収束に向かいます。原稿の構成がプレゼンの原理原則に立っているからこそ、彼のウィットに富んだ話術が活き、聴衆を笑いの渦へ引き込み、好意を引き出すのです。

(野崎稚恵=構成、翻訳 葛西亜理沙=撮影 写真=アフロ)