泉田元知事、米山現知事が再稼働に慎重な柏崎刈羽原発

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「ロシアに近い新潟では 泉田裕彦前知事が検討していたウラジオストックと新潟のガスパイプライン構想に加え、米山新知事はさらにLNG火力の新設を練っています。柏崎刈羽原発廃炉で宙に浮く800万kWの送電線で関東に売電するのです」

 こう話すのは、新潟県知事選(10月16日投開票)で米山隆一知事の応援に駆けつけ、今でも意見交換をしている元経産官僚の古賀茂明氏だ。泉田前知事とは官僚時代の先輩後輩の仲で、四選不出馬表明以降は「福島原発事故の検証と総括なき再稼働はありえない」が持論の泉田路線継承候補の擁立と当選に尽力した。

 その米山知事は東京電力トップ(數土文夫会長や廣瀬直己社長ら)と新潟県庁で会談をする予定だという(11月22日と29日の予定が地震と鳥インフルエンザで二度延期に)。

 小泉純一郎元首相が新潟講演をした11月4日に米山知事は「これから柏崎刈羽原発をめぐって東電との厳しい交渉が始まるが、再生可能エネルギーが拡大すれば、『あの交渉は何だったのか』と思うようになるかも知れない」と挨拶、原発ゼロ実現で小泉元首相と足並みを揃えていた。

「プーチン大統領訪日で“北方領土解散”を狙う安倍政権は、その呼び水にすべく日露経済協力を検討していますが、その目玉の一つがガスパイプライン構想。実は、この構想を含む日露経済協力が、原発ゼロの実現にもプラスになるのではないかと注目しているんです」(古賀氏)

◆ロシアと結ばれた新潟が新たなエネルギー拠点に!?

 与党国会議員から成る「日露天然ガスパイプライン議員連盟」が、サハリンから稚内を経て東京湾までの1500kmを結ぶ“北海道ルート”(7000億円)を要望しているが、実はウラジオストックから新潟までの“日本海ルート”も検討されていたのだ。

「新潟にはガス貯蔵施設など関連施設があり、東北や関東方面とパイプラインでつながっているため、ロシアとパイプラインで結べば、新潟がエネルギー拠点となる可能性があります。そこで泉田知事の主導で調査が始まり、2014年3月に報告書『日本海横断パイプライン構想調査』を作成しました。取りまとめを依頼したのは、『公益法人 環日本海経済研究所』(新潟市)です」(新潟県国際企画課)

 また報告書には日本海ルートの建設費が3000億〜5000億円とあったが、「あくまで推算値で、最も深い水深3300mに通す技術的課題は残っている」(同)のだという。

◆パイプライン経由だけでなくLNG輸送でもロシア産天然ガスは有望

 一方、ロシアからタンカーでLNGを新潟に運び込み、ガス火力発電所で発電することも可能。北海道の石狩湾新港でも、ロシア産LNGを使う予定のガス火力発電所(180万kW)が建設中だ。

 新党大地代表の鈴木宗男氏も11月24日、永田町で開かれた新党大地塾でこう訴えた。

「石狩新港に、北海道ガスが一基60万kWのガス火力発電所を三基作ります。北海道電力の泊原発が150万kWですから、これで原発がいらなくなるのです。『21世紀は環境の世紀』と言われていますが、天然ガスは石油に比べて地球温暖化ガスの排出量が少なく、環境にも優しい。隣国ロシアは世界一の資源大国なわけですから、これを使わない手はない。専門者会議でも『ロシアからのエネルギー供給が3割に増えても脅威にならない』という議論は出ています。いまロシアの日本に対するシェアは1割。まだまだ伸びしろがあるのです」

 ガスパイプライン経由でもLNG輸送でもあっても、ロシア産天然ガスの輸入拡大をすれば、原発再稼働の必要性が薄れて原発ゼロ実現の追い風になる。それと同時に、日本のエネルギーの中東依存度を減らす効果も併せ持つというのだ。日露経済協力の進展が、今後の日本のエネルギー政策にどんな影響を与えるのか要注目だ。

<取材・文・撮影/横田一(ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた最新刊『黙って寝てはいられない』小泉純一郎/談、吉原毅/編に編集協力)>