昨年度の国家公務員の「男の産休」取得率は30.8%と、前年度から6.1ポイント増加。この数字は高いのか、それとも低いのか。3つの視点で考える

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男の育休取得率30%強は高いか?
真の問題を読み解く「3つの視点」

 政府発表によれば、昨年度の国家公務員の「男の産休」取得率が30.8%と前年度から6.1ポイント増えたそうだ。「男の産休」とは、妻の産休期間に5日以上の休暇を取得した男性の比率を指す数字だという。今回のコラムではこの数字の意味について、3つの違う観点から論評してみたい。最後まで読んでいただければ、このテーマが抱える問題の全体像がよく見えるようになってくるはずだ。

 まず第一の観点は「公務員の男の産休率が30%強というのは高いのか、それとも低いのか?」ということだ。

 ネットでこのニュースを見た読者の多くが象徴的な反応を見せていた。それは「3割の男性が産休をとれるなんて公務員だけの話だ」というネガティブな反応だった。「民間ならそんなに多くの人間が産休をとれることはない」ということで、まるで公務員が気楽な仕事をしているかのごとく捉えた人も少なくなかったように感じる。総じて言えば「この数字は高すぎる」というのが世論の反応だった。

 実はこの数字は、政府の目標にとっては全然低い結果である。安倍政権はこの「男の産休」を100%取得に持っていきたいと考えているからだ。

「妻の産休期間に5日以上の休暇を取得した男性の比率」という男の産休の定義を見直してみると、実際、そのハードルは非常に低い。妻の産休期間というと、法律では出産予定日の6週間前から、産後8週間までの3ヵ月強の期間を指す。この期間に休暇を5日以上取得すれば「男の産休率」に算入される。このことを考えると、30%強という数字は、それ自体はそれほど高い数字とは言えないし、別に公務員でなくてもこれくらいの休みは民間でもとっている。

 この定義における「男の産休率」は、本来の意味でのイクメンの比率を表しているわけではない。むしろ本当に重要なのは男性の「育休率」だ。育休、つまり育児休業というのは、休暇ではなく休業である。基本的には子どもが1歳に達するまでの期間において、子育てのために長期間仕事を休むことである。

 この定義に沿った場合の公務員男性の育休率は、5.5%という数字になる。厚生労働省によると日本人男性の育休率が約2.7%だというから、公務員の方が高いとはいえ、とびぬけて高い数字ではない。ちなみに、同時期の女性の育休率は約82%なので、育休に関する男女差はかけ離れている。ここに政府の問題意識がある。

 政府の目標は男性の育休率を2020年までに13%にもっていくことだが、まだそのゴールにはかなり遠い。そもそもそれ以前に、2012年までに10%という目標も存在していたが、目標達成は二度にわたって先送りされている。

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