北朝鮮の国営テレビが、最近になってロシア映画の放映回数を増やしている。その思惑を巡り、様々な見方が出ている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、ロシア映画の放映が増え始めたのは最近のことだという。

また、咸鏡北道では今まで朝鮮中央テレビの1チャンネルしか視聴できなかったが、万寿台(マンスデ)テレビも見られるようになった。

1983年に開設された万寿台テレビは、平壌市内とその周辺でしか受信できなかったが、人気が高い。

プロパガンダ一色の朝鮮中央テレビと違い、外国映画も頻繁に放映するためだ。

万寿台テレビは昨年7月に放送が中断したが、11月に復活している。ちなみに、中断の理由は、職員が、編集前の外国の映像素材をUSBメモリーに入れて、横流ししていたことが国家保衛省(秘密警察)に発覚し、捜査の対象となったからだ。

このチャンネルでは、平日の夜は金正恩党委員長のプロパガンダ番組と科学技術についての番組を、週末にはスポーツ番組を放送している。特記すべきは、毎日のようにロシア映画、それも第2次世界大戦を扱ったものを放送している点だ。

一方、ロシアと並んで北朝鮮と「友好国」であるはずの中国の映画は、一切放映されない。近年の中朝関係の冷え込みの影響とみられる。

情報筋も、中国の映画が放映されないのは、国連の対北朝鮮制裁をめぐって中国との関係に問題が生じているからだと見ている。また、市中では中国映画の取り締まりが強化されているという。

別の情報筋によると、テレビで、第2世界大戦でのロシアの勝利を描いた戦争映画を多く放送するようになったのは、軍の冬季訓練が始まってからのことだ。

中国映画は取り締まるが、ロシア映画を放映する最近の傾向について、情報筋は「明らかに中央の意図がある」と述べる。住民の間では、ロシアが制裁において「中立的な立場」を守ったことに対する感謝の表れなのか、内外の情勢は緊迫していることを強調する意図があるのかで、議論が交わされているという。

今まで、金正恩氏を称えるプロパガンダ番組ばかり見させられていた視聴者は、久々の外国映画の放映にかなり興味を示している。これを考えると、韓流ドラマなど「違法映像」にすっかりハマっている北朝鮮の人々の視線を、国営テレビに取り戻すという意図があったという見方もある。