東方のACL出場を報じる香港の媒体

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 いま、アジアサッカーが熱い。東南アジアや中国、インドなどの新興国でサッカーが爆発的な人気を博してきており、その経済規模も日本サッカーを凌駕するものが出てきている。サッカーのレベルも徐々に日本や韓国などの強豪国に近づいてきており、色んな意味で無視できない存在となってきている。

 アジア最古の「サッカー協会」「サッカークラブ」「国内リーグ戦」「国内カップ戦」などの称号は、すべて150年以上に渡って英国の統治下にあった香港に与えられているものである。19世紀の終盤から20世紀の初頭に掛けて、英国の船舶が寄港する世界中の港町から瞬く間に広まったサッカー。香港はアジア諸国の先頭に立ってサッカーを牽引する立場にあったことは、現代のサッカーファンの間ではあまり知られていない。

 アジアサッカー連盟発足時のオリジナルメンバーの香港は、サッカー発祥の地でもある英国による統治の時代から、20世紀末の中国への主権返還を経て現在に至るまで、アジアのサッカー勢力の観点においては、相対的な地位を徐々に落としてきた。

 近年、香港サッカーは、国家主導による中国スーパーリーグの勃興や、Jリーグなどとの提携事案によるアセアン諸国の台頭に、後塵を拝する立場に追いやられている。しかし、ここにきて古豪復活とばかりに、かつての繁栄の日々を奪還するべく、巻き返しの攻勢に出ていることを解説する。

◆香港王者の東方がACLに史上初のストレートイン決定

 12月中旬、アジアサッカー連盟は、クラブチームのアジア王者を決める大会である「AFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL)2017」の組み合わせ抽選会を開催した。

 この大会の過去10年の戦績は、2011年を除き、韓国、日本、中国、豪州の東地区のクラブチームが制しており、勢力分布の構造では「東高西低」の10年だったと言える。この4ヶ国は東地区の強豪国(1〜4位)として、毎年安定した大会出場枠(数)を確保している。

 出場枠(数)については、アジアサッカー連盟が集計する「加盟協会ランキング」に基づいて振り分けられている。例えば、今年は上述の4ヶ国に加えて、5位のタイと6位のベトナムに出場枠が与えられた。このように東地区ではランキング上位の国に、グループステージ枠とプレーオフ枠が割り当てられる仕組みだ。

 ちなみに香港は、ここ数年間はタイとベトナムに次ぐ位置に付け、マレーシアやシンガポールなどとランキングを争っていたのだが、今年に入り6位のベトナムを、7位に付けていた香港がついに上回った。

 発表された「ACL2017」のグループGの組み合わせを見て頂きたい。第1ポット:広州恒大(中国)、第2ポット:水原三星ブルーウィングス(韓国)、第3ポット:日本第三代表(浦和レッドダイヤモンズまたは川崎フロンターレ)、第4ポット:東方(香港)。

 香港王者(香港の第一代表)の東方が、ついに「ACL」の出場枠(ストレートイン枠)を獲得。香港勢としては史上初の出場となる快挙だ。前身のアジアクラブ選手権の頃は、香港のクラブチームは大会の常連勢力だっただけに、香港のサッカー界は大いに盛り上がっている。

◆しかし、スポンサーの撤退により暗雲が立ち込め……

 香港の国内リーグ(プレミアリーグ)は、秋から翌春に掛けて開催する秋春制で行なわれており、東方が香港王者となった5月の段階では、まだ「ACL」にストレートインすることは確定していなかった。ベトナムと香港の順位の入れ替わりが明らかになったのはオフになってからで、東方はプレシーズンに向けて活動予算の準備と戦力の補強を急ぐことになる。

 ところが、リーグの開幕を控えた東方に想定外の激震が走る。これまで活動を支えてきたメインスポンサーが突如撤退を発表して、東方はリーグへの参戦を一旦白紙に戻した上で、念願であり目標だった「ACL」参戦を辞退表明したのだ。