猫を飼っている男はいい奴でなくてはならない【カレー沢薫「猫と男」 第1回】

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OL兼漫画家として唯一無二の作風で活躍するカレー沢薫さんの連載コラム登場!徹底した猫至上主義の価値観で考える「猫と男」とは?その辺のダメ男に引っかかっている女性陣。出会いがないと嘆いているあなた。猫の前では男なんて無価値かも?

■第1回「猫を飼っている男の特徴」



このコラムのテーマは「猫と男」だ。
おそらくこのコラムを読んでいる3人中5億人が「男いらなくね?」と思っただろう。
そもそも唯一神である猫(以下おキャット様)と人間如きを同列に語ろうというのが間違っているので正式なタイトルは「猫>>>>>>>>>>>越えられない壁>>男」であり、略して「猫と男」だ。

「と」はどこから来た、という話は置いておいて、ならおキャット様の話だけすればいいと思われるかもしれないが、まずはこのサイトの全貌を見て欲しい。「男、女、結婚、恋愛」以外の話は許さないという雰囲気だ。
それでもおキャット様の話をするために、男という蛇足を付けざるを得なかったのだ、どうか許して欲しい(今のはおキャット様への謝罪であり貴様らに謝ったわけではない)。

まず第一回目のテーマは「猫を飼っている男の特徴」だ。
別に、考え得る限りでもっともつまらないテーマを選んだわけではない、やる気はあるのだ。
まず猫を飼っている男の特徴だが、例外なく言えるのは「いい奴」である。
これは「猫ちゃん好きに悪い人はいないょ」という虫歯になりそうな思想ではない、おキャット様を飼う、という重責を担う男が悪かったら困るからだ、だから例外なくいい奴でなくてはならない、これは義務だ。
しかし、ここで言ういい奴、というのは人間的にという意味ではないし間違っても「女にとっていい男」という意味ではない。
女を風呂に沈めた金で、おキャット様にカナガンのキャットフードを献上しているとしたらそれは「いい男」である。
よって猫を飼っている男は例外なくイイ奴なので、女性は安心してつきあい、どんどん貢いで、おキャット様が三食シーバプレミオを食えるようにしていただきたい。

猫を飼っている男がいい奴だということはわかったが、ではその性格はどういったものだろう。さっそく「猫好き 男 特徴」とインターネットに聞いてみた。
もちろん「○○だから●●」と断言できることなどほぼないため、薄らぼんやりとした情報しか得られなかったが、一番多かったのは「猫好き男は性格も猫系」というものだった。
勘違いされては困るが、おキャット様の性格というのはおキャット様にしか許されない、人間がまねをしたら万死に値する。
そもそも猫系の性格とはなんだというと「自由でマイペース」ということである。
確かにそういう性格の人間は男女問わずにいるが、少なくともペットを飼う以上ペットに対してだけはキッチリした性格でないと困る、日頃からおキャット様に対し細やかなケアを行い万が一体調を崩されていたら速やかに病院へ連れて行かなければならない。
逆に言えば、それ以外に対してはマイペースで構わない、手作り弁当を持ってきた女を前にドミノピザに電話をかけるぐらい自由でいい、許す。

つまり、猫飼い男と付き合うときは、自分よりおキャット様を優先されても「それが当然」と思えなければいけないのである。



プロフィールカレー沢薫
OLであり漫画家、コラムニスト。1982年生まれ。2009年に『クレムリン』(講談社)で漫画家デビューを飾る。秀逸な言語感覚で繰り広げられる切れ味鋭い世界観が人気。こよなく猫を愛し、猫が登場する作品も多数。最新著作『ブスの本懐』(太田出版)を2016年11月16日に発売。

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