田中仁(たなか・ひとし)ジェイアイエヌ代表取締役社長  1963年、群馬県生まれ。1988年にジェイアイエヌを設立。2001年にアイウエア事業に参入し、独自のSPA方式を導入したことで急成長を果たす。2011年には「Ernst&Young ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011」モナコ世界大会に日本代表として出場。2013年、東証一部に上場。  Photo by Yoshihisa Wada

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12月1日にダイヤモンド社から『人生を変えるドラッカー』が刊行された。札幌を舞台に、ドラッカーの『経営者の条件』を読み解き、自らのものとしていく3人の主人公による小説仕立ての本だ。その著者である吉田麻子さんが、「ドラッカーの示す人材育成や経営を具現しようとしている」と感じているのが、アイウエアブランドJINSを展開するジェイアイエヌだ。そこで今回、ジェイアイエヌ・田中仁社長に「経営者の条件」について聞いた。

「心理学に通じるドラッカーのアプローチは人と組織の基本に」

吉田 以前なにかの記事で、田中さんが知人に勧められて、ドラッカーの『マネジメント』を手にした、と拝見したことがあるのですが、読まれての感想はいかがでしたか。

田中 ドラッカーのアプローチは心理学に通じると感じたのを覚えています。高校の野球部を舞台にしてヒットした『もしドラ』なども読みましたが、同様の読後感を持ちました。マーケティングなどの戦略的な手法も大事ですが、会社で働いている人や、その人たちが形づくる組織のパワーを発揮するためには、やはり人をエンカレッジすることが欠かせません。

 社長も同じなのです。理屈抜きに、社長の器が大きくなければ組織や会社は大きくなれない。つまり会社は社長の器に応じて大きくなるし、社長の器以上にはならないのです。社長の器もまた、人を知るという点に凝縮されてきます。

吉田 いわゆる「できる社長」は、人を見抜いたり評価したりするのが上手だと言われます。

田中 相対した人が信用できるかどうかを見抜くのは、やはり感覚です。しかし、元々は野性的な感覚を持っている人でも、日々の「こうあらねば」という教えに矯正され、その野性的感覚を失ってしまう。

 幸い私は、その人の本質を見抜く野生は持ち続けている方かなと自負しています(笑)。

吉田 ドラッカーも型にはまったやり方ではなく、その人本来の強みを生かし、貢献することが成果につながると指摘しています。いわゆる普通の人たちが自らの強みを通じて成果を出し、働きがいをつかむ方法を説いたのが『経営者の条件』です。

田中 その上であえて補足するならば、私自身は、本を読み頭で理解しただけでは本質を捉えたとは言えないと思っているのです。なにかを“体験して”初めて血肉になっていく。

 そしてもうひとつ大切なのは、その本と“いつ出会うか”ではないでしょうか。人間、自信満々のときに、本を真剣に読むことはほとんどないと思います(笑)。凹んだり自信を失ったり、謙虚になったりしているときに本と出会うと、気づきになり、心に響く。

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