<ベルリンとトルコで2件のテロが起きた日の前日、ヨルダンでもテロ事件が起こっていた> (ヨルダン中部カラクの事件現場、12月21日)

 12月19日、ドイツの首都ベルリンでクリスマス市に暴走したトラックが突っ込み、12人が死亡した。奇しくも同じ日、トルコの首都アンカラではトルコの警察官がロシアの駐トルコ大使を銃殺。背景こそ異なるが、こちらも政治的な目的のために暴力を行使するテロリズムである。

 ベルリンの事件はその手法から、7月に南フランスのニースで起きたトラック・テロを想起させ、世界中を震撼させている。トルコの事件にしても、殺害の瞬間の写真や動画が出回り、ショッキングなニュースとして広く報じられた。

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 だが、テロはこの2件だけではなかった。

 ヨルダン中部のカラクで18日、観光名所の城が武装集団に襲撃され、カナダ人観光客1人を含む10人が死亡、34人が負傷した。AFPによれば、4人組の武装集団がパトロール中の警察官を銃撃した末、城塞内に立てこもったようだ。治安部隊が城を包囲し、数時間後、テロリスト4人を殺害したとヨルダン当局は発表している。

 このテロ事件に関しては、過激派組織ISIS(自称イスラム国)が20日に犯行声明を出し、ヨルダンの「背教的な」治安部隊やアメリカ主導の有志連合の市民らを標的にしたと主張。同じ20日、武装集団と警察との新たな銃撃戦が発生し、警察官がさらに4人死亡している。

 しかし、このヨルダン・テロはほとんど報じられなかった。あの時と同じだ。

 2015年11月13日、フランスの首都パリで同時多発テロが発生、約130人が死亡した。その前日、レバノンの首都ベイルートで連続自爆テロが起き、こちらは43人が死亡している。

 パリのテロ事件後、ベイルート・テロに関する報道は激減し、さらには名所旧跡をフランス国旗の3色(トリコロール)にライトアップしたり、個人がフェイスブックのプロフィール画像をトリコロールにしたりと、フランスへの連帯を示す行動が各国に広がった一方、同様の"連帯"はレバノンには向けられなかった。

 当時のCNNの記事には、あるレバノン人医師のブログがこう引用されている。「(私たちの)死は国際ニュースの中のどうでもいい1つの断片にすぎず、世界のどこかで起きた出来事にすぎなかった」

 5年超に及んだシリア内戦は、「戦後最悪の人道危機」などと報じられつつも、国際社会は効果的な手を打つことができず、ロシアの支援するシリア政権軍が反体制派の拠点アレッポ東部を陥落させる結果となった。内戦の死者は25万人とも47万人ともいわれる。そして、このアレッポ陥落が「これから起きるさらなるテロの前触れとなる可能性が高い」と、外交問題評議会会長のリチャード・ハースは予測しているのだ(参考:昨日起こったテロすべての源流はアレッポにある)。

 難民危機の例にもれず、世界はつながっている。目前で起きたことだけに注意を払っている場合ではない。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部