photo by Daniel Lobo via flickr(CC BY 2.0)

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 スペインのZARAはネットショップでの販売が順調に伸展している。ZARAがネットショップを開設したのは2007年であるが、本格的に取り組んだのは2010年からである。それから現在まで、その成長は著しく、2015年度のネットショップでの売り上げは11億5790万ユーロ(1332億円)、収益1億460万ユーロ(16億8000万円)となって、ZARAを含めたインディテックスの売上全体の5.5%を占めるまでに成長している。(参照「El Pais」)

 インディテックスはネットショップでの販売実績は未知数ということでできるだけその売上を公表するのを避けていた。また、店舗数をできるだけ増やすというのが基本のポリシーであったことからネットショップの展開についてはいささか抵抗があったようである。しかし、現在では例えば米国市場においては店舗数は少ない一方で、ネットショップでの販売が大きく成長しているそうだ。

 アメリカであれば、「ZARAはどこ?」と聞く以前に、ネットで買うほうが早いかもしれない。

◆ライバルが少なかったネットショップ

 ZARAのネットショップ販売は大きく2つのグループに分かれている。

 アイルランドに営業本部を設けて米国、カナダ、日本と3つの市場での販売を担当しているグループと、もうひとつはスペインのZARAの親会社インディテックスがスペイン、ポルトガル、イタリア、ポーランド、オーストリア、ギリシャ、デンマーク、フィンランディア、ノルウェー、スウェーデン、スイス、ルーマニア、ドイツ、モナコ、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、英国、アイルランドの19か国でのネットショップである。

 2015年度の売上を見ると、前者は3億1790ユーロ(366億円)の売上、収益5480万ユーロ(63億円)、そして後者は8億4000万ユーロ(966億円)の売上、収益4980万ユーロ(57億2000万円)となっている。(参照「El Pais」)

 ZARAのネットショップ躍進については、大きな要因がある。

 というのも、現在ZARAが意識するようになっている強力なライバルであるイギリスのPRIMARKが、同社の商品価格が低すぎるためにネットショップ販売に伴う経費のことを考慮すると採算ベースに乗らないとしてネットショップ販売を展開させていないのである。このことはZARAのネットショップ展開にとっては強力な敵がいないため非常に都合が良いのである。

◆リアル店舗展開は?

 一方のショップの展開については、ZARAが店舗数の増加で力をいれているのが中国とロシア市場である。

 特に、中国においてはユニクロと熾烈な戦いを展開している。その影響もあって、今年の中国でのショップは<41店舗加えて、607店舗>になっている。(参照:「El Pais」)

 一方のユニクロは<今年8月までに中国で472店舗>を構えている。(参照:「ファストリテイリング」)

 しかし中国では、品質面についてはユニクロの方が上という評価が徐々に浸透しつつあるという。

 一方、ロシアは今年<44店舗増えて、529店舗>になっている。因みに、日本は<5店舗増えて、150店舗>を数えるまでになっている。(参照:「El Pais」)

 米国でのZARAの店舗数が76店舗と比較的に少ないのは、米国には地元のライバル企業が多数あるということで進出を遅らせていたのが要因だ。しかし、Guessなど地元企業の体制の改善が要求されている現在、ZARAは市場をセグメントしながらも積極的に米国市場での販路拡大に動いている。中国、ロシアに次ぐ第3の市場として発展させたいとしている。

◆国によっては意外と安くない「ZARA」

 中国やロシアでのZARAの進出が目立っているが、価格という面ではこの2か国の生活レベルと比較してZARAの商品はけっして安くはない。

 しかし、ZARAというブランドを前面に出して成長させて販売を伸ばしている。Vanity Fiar がベルベットのロングワンピースが国によって、いくらの価格で販売されているかという調査リストを掲載している。(参照:「VANITY FAIR」)

 それによると、<スペインで39.95ユーロで販売>されているものが、<中国ではユーロ換算して53.27ユーロ、ロシアでは55.56ユーロで販売されている>という調査報告がされている。そして、<日本では61.61ユーロ、米国だと62.24ユーロで販売>されている。

 因みに一番安価で販売されているのはスペインとフランスの国境に挟まれたように存在しているアンドラ公国で、<35ユーロで販売>されている。そして一番高価になっているのはエクアドルの80.13ユーロである。

<文/白石和幸 photo by Daniel Lobo via flickr(CC BY 2.0) >