若い頃に戻りたいなんて、1ミクロンも思わない。#ふたりごと

写真拡大 (全5枚)

これまでの色々な経験で、いまの仕事に役に立っていることは、やっぱり販売員として現場でお客様と直に接していたことだと思う。

目の前にいるお客様のことだけを考えてコーディネートの提案をしていたことがすべて「いま」につながっている。

インナー探しばかりしていた販売員時代

販売員として働いていたブランドは、フランスのエスニックのブランド。素材はシルクで、刺繍やスパンコールとかが付いているものがほとんど。インナーは付いていないことも多かったから、一枚で着ることができないものばかりだったの(スケスケだからね)。

ブランドがオープンしてすぐのころは、いわゆる"普通"のアイテムなんて一切なくて全部が主役級の華やかなものだった。だから、一枚で着るどころか、日常に着るって想像がつきにくいものばかりだったんだ。

雑誌の表紙や、衣装としては華やかで、他にはないデザインだったから人気はあったんだけど、なんせ普通の方に認知してもらうのが本当に大変で...。

どうしたら毎日のアイテムとして取り入れてもらえるか、いつもいつもスタッフ同士で話していたよ。

そのときはインナーに着るキャミソールとか、タートルネックとかを自分たちで探してコーディーネートして店頭に来るお客様に見てもらっていたの。

そうすると、だんだんお客様に「そのインナーはどこの?」って聞かれることが多くなって、そのインナーがあれば私にも着られるかも! なんて身近に感じてくれるようになってきたんだ。

だから、新作が入荷したら、まずは色んなお店でインナー探しをしてた(笑)。

そんなことを続けているうちに、お客様がトップスを欲しいと仰ってくれるようになって。

そして、そのトップスに合わせるパンツがないとわかれば、まずはお客様の体型にあったパンツを探して、自分で試着して、いいと思えばお客様のお名前で取り置きして、後日「先日欲しいと仰ってくださったトップスに似合いそうなパンツがあったから取り置きしてあるので良かったら見に行ってみてください!」なんて電話していたの。

大変であればあるほど考える

20161220_kobinata_03.jpgこれが、私のパーソナルスタイリストの始まり。

提案するのが靴のときもあれば、トップスのときもある。とにかく、お客様がこのアイテムがあればお店の服と合わせられる! と思ったら何でも探していたように思う。

長くお付き合いをしていた顧客の方が、後日来店してくれて「パンツぴったりだったー!」なんて仰ってもらえるとうれしくて仕方なかった。

いまにして思えば、仕事っていう感覚はなくて、楽しんでやっていた感じ。

だから簡単に売れるようなブランドじゃなかったことを、いまではすごく感謝してる。簡単に売れていたら、私、考えが浅いままだったと思うから。

大変であればあるほど考えるじゃない? そういうときに考えたことって、必ず身になって、失くなることはないんだよね。

だからきっとこれからも茨の道を選んでしまいそう。多分、苦労したい体質なんだと思う(笑)。

それでいうと、いちばんの"苦労したい体質"実践編は、アパレルに転職しようと決めたとき。

毎日凹んだクレジットカードの仕事

20161220_kobinata_05.jpg新卒で入ったのは旅行会社。接客業は大好きだった。アパレルへの転職を考えていたころは、旅行の手配と物を売ることは違うから、そのとき一番したくないことをして、それができたら服も売れる! と思ってクレジットカードの勧誘の仕事に就いたの。

ものすごくやりたくなかったやつ(笑)。

銀行の店頭に立って変な(ごめんなさい)エプロンをつけさせられて、銀行にいらっしゃる方にクレジットカードの勧誘をする仕事。まぁそれが大変で大変で。自ら選んだくせに、毎日凹んで帰ってきてた。

銀行に来ている人は100%目的があってきているから、余計なことをしたりするつもりなんて全くないわけ。そんな人に、「クレジットカードのお申し込みはいかがですか?」なんていきなり話しかけても大抵は無視される。冷たく「持ってます」の一言がもらえればラッキーで、最悪は大きな声で「うるさい!」なんて怒鳴られたり。

怒鳴られたらおしまいで、その場にいる別の方に話しかけても100%無視されて終わるんだよね。だから、そこに居合わせたお客様がみんな帰るまで動けないなんてことが続いて、1日立っていても1枚も入会してもらえないなんてざらだった。

お金をもらっている以上、成果を残さないといけないし、何より怒鳴られるのが本当に嫌で、これはなんとかしないと! って。

そこでやってみたのが、まず、会社の人にエプロンを外させて欲しいと懇願して、その代わりきちんとしたスーツで出勤するようにしたの。これは、あからさまに「勧誘してますよー」って見え方を変えたくて思いついたこと(あとダサすぎて本当につらかった。ごめんなさい)。

次に、銀行のシステムを勉強させてほしいとお願いして、私が対応しても問題ない程度の受け答えができるようにしたの。そうすることで、私に話しかけてくれる人が、だんだん増えてきたんだよね。

それでわかったのが、新規口座を開設しに来る人が割と多く、そのほとんどが給与引き落とし口座の開設だったの。

それがわかったら、その口座から引き落としになるクレジットカードを一緒に申し込めば、お客様にとっても面倒な手続きがなくて一石二鳥だ! ってことにも気がつき。で、そのままお話をしてたら、どんどん入会してくれるようになったんだ。

そうやって、怒鳴られることもなく必要な人に必要なサービスをご案内できるようになったの。

結果、1日で3枚の申し込みがあれば素晴らしい成果の世界でゆうに10枚くらい申し込みしてもらえるようになった。そのうえ、銀行サイドから指名をもらえるようにまでなったんだ(自慢)。

この経験は相当大きくて、いまもあの怒鳴られたときのことを思うと、どんな仕事もあれにくらべれば余裕ーーーーーーー。って思えるし、与えられた仕事で結果が出せないときは必ず原因を探しどう動けばいいのか考えるようになったんだ。

これが、次に転職したアパレルで簡単には売れない商品をどうやったら売れるか考えられるようになったきっかけだと思う。

最悪だった経験が自分を強くしてくれた

20161220_kobinata_04.jpg結局、大変だった、最悪だった経験が自分を強くし、いまのいちばんの糧となってる。

若いときはお金もなかったし、経験もなかった。

欲しいものも買えないし、行きたいところにも簡単には行けなかった。

でも、そういう自分だったから、がむしゃらになることができた。

いまは本当にそれで良かったと思ってる。むしろ苦労して良かった、って。ま、苦労したい体質だからそう思うのかな(笑)。

いまも、そしてこれからも、昔とは違う壁にぶつかって壊してっていう経験を重ねていくんだと思うけど、壁が昔よりは高くないことの方が増えてきたから、いまがしあわせ。

若いころに戻りたいなんて、1ミクロンも思わないし、昔を懐かしむこともほとんどしないの。

したとしても一瞬。昔話でひと晩呑む、とか無理(笑)。それよりは、今か未来の話をしていたいんだ。

ひーちゃんは、昔のことなつかしんだりする?

>>連載「ふたりごと」をもっと読む

こちらも読まれています

・若い頃に戻りたいなんて、1ミクロンも思わない。#ふたりごと

・実績がないからダメってことじゃない。 #ふたりごと

・相手の気持ちが読める手袋 #近未来に恋をする【カツセマサヒコ新連載】