大谷翔平(AP/アフロ)

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 今年、最も注目を集めたアスリートといえば、リオオリンピックの金メダリストたちを凌いで、なんといってもプロ野球の大谷翔平選手だろう。球速165km/hのストレートを投じる、投手と野手を両立する「二刀流」選手。その活躍で、北海道日本ハムファイターズを日本一に導いた。プロ野球史上初となる、投手と指名打者の2部門でベストナインに選出されるという快挙も果たした。

 大谷選手に与えられた栄誉は、それだけではなかった。12月7日、「2016年度ベスト眉ニスト」に選ばれたのだ。アイブロウトリートメントサロン「アナスタシア」が主催するアンケートで、最も眉が美しい男性として、大谷選手が選ばれた。アイブロウトリートメントサロンとは、美しい眉創りのためのサロン。アナスタシアのウェブサイトから、そのコンセプトを引用しよう。

「アナスタシアは『眉は美、美は自信』であると考えます。トレンドや誰かの真似ではない、あなただけの個性と美を活かす、完璧な眉が実現できたら。新しい自分、本来の美しい表情が目を覚まします」

 女性たちの間では人気の、なかなか予約が取れないサロンであるようだ。大谷選手がベスト眉ニストたるわけは、アナスタシアによって次のように分析されている。

「骨格、筋肉に沿って左右バランスがとれた一文字の眉が、真っ直ぐなまなざしをより印象的なものにしています。笑った時に表情に合わせて下がる眉尻が、確固たる信念とプロ意識の中に、ひたむきな『野球少年』の純真さ、少年っぽさを、さりげなく感じさせ、爽やかな大谷翔平選手の魅力につながっています。観ている人へ自分自身の初心を思い起こさせてくれるような、素敵な眉です」

●選出方法

 ベスト眉ニストの選出は、東京、埼玉、千葉、神奈川、京都、大阪、兵庫、北海道、宮城、愛知、福岡の20代から50代の男女1000名を対象に、インターネットアンケートで行われたという。

 部門は、「眉がきれいだと思う女性芸能人」「眉がきれいだと思う男性芸能人」「眉がきれいだと思う女性芸人」「眉がきれいだと思う男性芸人」「眉がきれいだと思う女性アスリート・著名人」「眉がきれいだと思う男性アスリート・著名人」「眉がきれいだと思う有名人(特別枠)」「眉をきれいにしたら素敵だと思う女性芸人」「眉をきれいにしたら素敵だと思う男性芸人」の9つ。各部門で活躍が目立った19名の候補者、あるいは「その他」に投票するかたちだ。

 アナスタシアによれば「男性アスリート・著名人部門」の候補者は大谷選手のほかに、長友佑都、錦織圭、内村航平、白井健三、イチロー、松岡修造、羽生結弦、萩野公介、長谷部誠、内田篤人、羽鳥慎一、桝太一、軽部真一、中村獅童、市川海老蔵、片岡愛之助、林修、池上彰という顔ぶれだ。

 結果は、1位が大谷翔平、2位が羽生結弦、3位が市川海老蔵、4位が錦織圭、5位が内田篤人。複数投票で、大谷翔平は18.4%を獲得したという。ちなみに、その他の部門の1位は、それぞれ以下のとおり。

・女性芸能人:北川景子
・男性芸能人:ディーン・フジオカ
・女性芸人:渡辺直美
・男性芸人:オリエンタルラジオの藤森慎吾
・女性アスリート・著名人:夏目三久
・有名人(特別枠):マツコ・デラックス

 各部門1位の中から、アナスタシアが見て「その人らしさが眉で最も表現できている人」の男女1名を選定。ベスト眉ニストとして、男性が大谷翔平、女性が渡辺直美と決定した。

●日本ハム「存じ上げません」

 眉の美しさまで認められて、さぞや大谷選手も喜んでいるだろう。そう思い、日本ハムファイターズに問い合わせたところ、大谷選手がベスト眉ニストに選ばれたことについて「存じ上げません」と回答であった。

 そこで、アナスタシアに確かめたところ、「ご本人への本結果の通達はしておりません」とのことで、授賞式や賞金もないとのこと。

 日本ハムファイターズからは、以下のとおり懐の深さを感じさせる回答が得られた。

「本人の顔写真やプレー写真が無断使用されたり、(過去の刊行物から眉毛についてのコメントを引っ張ってくるなどで)本人のコメントようなものが掲載されていたりすれば問題ですが、当人に知らせることなく賞を授与する、ということは相当数あると思われますので、現時点でこのリリースを問題にすることは考えておりません」

 アナスタシアの発表には、球団が懸念するような無断使用はない。

 ベスト眉ニストの発表は、アナスタシアの名とともにスポーツ紙やウエブメディアで報じられた。費やしたのは、ほぼアンケートの費用のみと見ると、費用対効果の面で、きわめて賢いプロモーションといえよう。このやり方に、追随しようとする企業も出てくるかもしれない。

 似た手法として思い浮かぶのは、ベストジーニスト賞だが、こちらは「勝手に授与」ではなく表彰式が行われている。そして、いくつものジーンズメーカーが参画する日本ジーンズ協議会が主体となっているのが、大きな違いだ。

 一企業で、勝手に賞を授与できたのは、アナスタシアがアイブロウトリートメントで、パイオニア的存在であったからかもしれない。
(文=深笛義也/ライター)