森永製菓 チョコモナカジャンボ(「Amazon HP」より)

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 季節はすっかり秋へと移り変わったが、暑かった夏を振り返ってみると、コンビニやスーパーマーケットで売られている冷たいアイス菓子にお世話になった人も多いだろう。

 家庭用アイス市場は近年拡大傾向にあり、日本アイスクリーム協会の調査によると、昨年度のアイスクリーム類及び氷菓販売金額の推移は4647億円で前年比6.4%増、4年連続で前年比を上回っている。06年の3558億円と比べると、ここ10年で販売金額は1000億円以上も増加しており、近年の夏の猛暑化と比例するように、家庭用アイスも売上を伸ばしているようだ。

 そんな日本人が大好きな家庭用アイス。アイスコーナーをのぞけば、毎年さまざまな新商品が並べられているが、いつどこのお店でも販売されている定番商品の数も多い。それらの商品は、この戦国時代ともいえる家庭用アイス市場で、なぜ長年生き残っていられるのだろうか。

●見た目と食感からも大容量を感じられる工夫

 来年で前身シリーズから数えると発売45周年を迎える「チョコモナカジャンボ」は、売上が年間1億5000万個以上、15年連続で過去最高の売上を更新中の「メガブランド」だ。

 ほとんど半世紀にも及ぶロングセラーで、しかも近年の売上は2000年度比で約400%増だという。

 製造元である森永製菓広報担当者に、この要因について聞いてみた。

「チョコモナカジャンボの開発で昔も今も継続していることは、お客様が何を求めているのかを知るために、常にお客様のお声に耳を傾け、商品を開発することです。お客様の期待にお応えし進化し続けていることで、みなさまから愛されるシリーズになっているのだと思います」

 ニーズに応えるのは商品開発において当然重要なことだが、しかしそれだけでは、これだけのブランドを生み出せるものではない。

 チョコモナカジャンボといえば、130円(税別)という低価格なのに大容量なのがウリのひとつだが、その点に関してはどうだろうか。

「品質に徹底的にこだわると同時に、製造から販売まで、各部門無駄のないオペレーションを実施する努力をしています。過去に遡っていうと、1972年、『チョコモナカジャンボ』が誕生するきっかけとなった『チョコモナカ』を発売していますが、80年に『チョコモナカデラックス』に変え、バニラアイスの真ん中にチョコレートソースをはさみ100円ながらも高級感を味わえるよう工夫を凝らしました。80年代後半から90年代にかけて、容量面やコストパフォーマンスを重視するお客様が増えるようになったので、大容量化を検討し始めたのです」(同)

 70年代は50〜80円と100円を切る価格設定だったが、時代が進んでも値段は据え置き、とはいかない。世の中のニーズに合うように、このシリーズも時代とともに容量なども増加していった、ということなのだろう。

「ですが、ただ大容量なだけでは、他のアイスクリームとは差別化できない。一目で変化がわかるようにしたかったので、96年に名称を変更して発売したチョコモナカジャンボは表面の凹凸を2列から3列にし、容量も約1.5倍に増量。バニラアイスにはさむチョコレートも、ソースではなくパリパリの板チョコにすることで食べごたえを感じてもらえるような食感にしました」(同)

 内容量以上に消費者が満足できる秘訣は、そのような視覚と食感によるところも大きいようだ。そして、鮮度にもこだわりを見せる。

●アイスに持ち込んだ鮮度という概念

「本商品の最大の特長は、ひとつにモナカ皮のパリパリ感があります。モナカ皮そのものも吸湿しにくいモナカ皮となるよう日々研究し、改良を重ねていますが、製造日数がたつとどうしてもアイスの水分でしんなりとしていくもの。アイスは賞味期限が設定されていませんので、出荷してからお客様の手元へ、さらに実際に召し上がるまでの時間はどれだけかかるか推測しにくいのです。そうしたなか、鮮度という考えを取り入れ、開発、生産、営業部門との連携を強化し、売れる数だけ製造するという体制にしているんです。月間の製造計画をたてつつも、月間の中で何度も細かく出荷調整を行い、鮮度管理を実施しています」(同)

 アイス市場でトップレベルの売上を誇る他のメガブランドを見渡しても、「エッセルスーパーカップ」「パルム」「ピノ」などバニラ味やチョコ味といったスタンダードなものが多く、特殊なフレーバーの商品は少ない。定番の味をしっかりとつくり、見えないこだわりに粉骨砕身することで、国民のライフスタイルに長く定着する商品が生まれるのかもしれない。
(取材・文=A4studio)