プレーヤー自身もゲームに熱中して歩き回る

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2016年7月の公開以来、世界中で人気のオンラインゲーム・ポケモンGOを使って、ゲームと健康との影響を調べた、ちょっとびっくりするような研究結果が12月13日付けの英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された。

研究者は「今のところ健康への効果は中くらいだが、潜在的な可能性はかなり大きい」と評価している。

歩数が1日あたり2割増しに

米ハーバード大公衆衛生学教室のキャサリン・ハウ研究員らのグループが調査した。ポケモンGOはゲームに登場するさまざまなキャラクターを捕まえるため、プレーヤーが地図をもとにポケモンの出現する場所を探し回ってつかまえる。これに着目して、ゲームをすることでプレーヤーがどれくらい余計に歩き回るかを調べた。

米国在住の18歳から35歳を対象に、オンラインで参加者を募り、ポケモンゲームのプレーヤーのレベルが一定以上に達するなどの条件で、最終的に560人のデータを集めた。調査は歩数の自動計測機能がついているスマートフォン「アイフォーン(iPhone)6」所有者に限定して実施した。

ダウンロード4週間前と比較するとダウンロードから1週間後、ゲームにもっとも熱中しているとみられる時期には平均して1日955歩、余分に歩いていることがわかった。だがこの効果は次第に薄れ、6週間後にはほぼ元の水準に戻ってしまった。

ポケモンGOを始める前の参加者の歩数は1日平均4256歩だったので、2割以上歩数が増えた計算になる。男女の差や年齢、人種、住んでいるのが都市か田舎かという居住環境には大きな影響を受けなかった。また参加者の平均歩幅を80センチと考えて、平均時速を4キロと仮定すると、1日平均11分程度余分に歩いたことになる、と分析している。

スマホの特定の機能を利用するこの種の調査が大規模に実施されるのは米国でも珍しく、研究チームは「オンラインでのこうした調査は他のテーマにも十分応用できることがわかった」と評価している。ただ研究論文では「今回の調査には子どもは含まれていないので、子どもを対象にすると違った結果が出る可能性もある」と指摘している。

ゲームの意外な活用策が見つかった?

ハウ研究員はこの研究結果を紹介した英ガーディアン紙(2016年12月13日付)に対し、「今回の結果に限らず、こうしたゲームが健康増進に役立つ可能性はかなり高い。外出し、歩いて、いろいろな人と交流するのは、どの世代にとっても肉体的な健康だけでなく、精神面でも優れた効果があるはずだと思う」と話している。

日本では運転中にポケモンGOをしながらの脇見運転で重大な交通事故を起こしたり、ゲームに夢中になって立ち入りが禁止されている場所に入り込んだり、歩きスマホで歩行者や自転車にぶつかったりするなどゲームのマイナス面が大きな問題になっている。

これは世界共通の課題だが、オンラインゲームを生活行動の調査や健康増進に役立てようという米研究者の発想は、ゲームの意外な利点を見いだした新たな活用策といえそうだ。