最終回を迎えるたびに○○ロスが増えていく…… - (画像はイメージです)
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 年の瀬が近づき、今年の人気ドラマが次々と終了していく中、「真田丸ロス」「逃げ恥ロス」といった「○○ロス」という言葉がインターネット上などで交わされているが、「ロス」という言葉についてあらためて考えてみた。

 この「○○ロス」という言葉が一般的に使われ出したきっかけには、2013年に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の存在が大きいだろう。終了を惜しむファンが、視聴を習慣化していた本作がもう観られなくなる……という喪失感を、ペットロス症候群(ペットを失ったショックから心身に不調があらわれること)の言葉が由来と思われる「あまちゃんロス症候群(あまロス)」と表現し、話題を集めた。

 朝ドラに関しては、前クールで放送されていた「純と愛」の時点から、ファンがTwitterで「#純愛ロス症状報告」というハッシュタグを用いるなど「ロス」の言葉は使われていた。だが「あまロス」については、さまざまなメディアが「あまちゃん」の盛り上がりぶりを報じる際に同言葉で伝えたり、さらには主演を務めたのん(当時:能年玲奈)もイベント内で同言葉を発するなど、ファンだけの愛称にとどまらない広がり方を見せていたように思われる。著名人のSNSや他テレビ局でも「あまロス」という言葉は使われ、「ロス」という言葉自体が一般的に浸透していった。実際、ドラマだけではなく有名人が結婚した際にも「西島ロス」「ましゃロス」といった「ロス」が出現するなど、ファンの喪失感をシンプルに表せる便利な言葉へと化していった。

 しかし、大好きなドラマやアニメが終わっていくときの、“ロストする悲しみ”は昔からファンの間に存在していたはずだ。そのときにはどのように表現していたのだろうか。2013年以前の作品の最終回に対するファンの感想などを巡っていくと、「ロス症候群」という言葉のほかに、「喪失感」「切ない」「絶望」「胸にぽっかり穴が空いた」「悲しさ」などが散見できた。特にアニメ作品のファンの間ではこの喪失感を指し示す「ポスト・アニメ・デプレッション・シンドローム」(Post Anime Depression Syndrome,PADS、日本語:アニメ終了後うつ症候群)という言葉を海外から持ち込んだり、“○○アニメ難民”などと称して表現するパターンも存在した。

 その一方で公式サイトなどに寄せられる声が「2期希望」「再放送を期待」「スペシャル版を作って」といったものが見つけやすかったことも興味深い。SNSが発達しファン同士で共感できるツールが増えたからこそ、作品終了後の喪失感の慰め方も変わりつつあるのかもしれない。(編集部・井本早紀)