イラスト=岡田 丈

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手当といえば家族手当や住宅手当が一般的だが、ユニークで斬新な手当や報奨金を出す企業も増えている。社員の健康を考えたもの、努力次第でどんどん支給が増えるもの、運次第で賞与アップ……。思わずうらやましくなる、モチベーションが上がりそうなものを厳選紹介。あなたがほしいのはどれ?

■資格取得奨励制度

[フジキン]大阪府大阪市

▼対象資格はなんと119種
ドラマ「下町ロケット」のロケ地として知られる精密バルブ大手のフジキンが、1970年、当時の社長の発案により導入。現在の最高受給者は14種の資格をもつ社員で、月4万3300円を受け取っている。支給額は資格により異なるが、一度取得すると退職するまで支払われる。対象資格は119種。高圧ガス製造保安責任者などの製造現場に関する資格のほか、TOEIC(R)や公認会計士など多岐にわたる。ほかに「非喫煙・禁コーヒー・禁ジュース手当」などもある。

■ハネムーン手当

[バンク・オブ・イノベーション]東京都新宿区

▼新婚社員を会社が祝福!
2013年に役員が発案。在籍2年以上の社員が対象で、新婚旅行の際、本人の往復旅行チケット代を現金で支給(上限20万円)。社内結婚なら2人に支給される。手当のおかげでワンランク上のレストランで食事を楽しんだり、滞在を1日延ばせたという喜びの声が聞かれたとか。また、同年に社員が提案した「花粉症手当」も認められた。花粉症の診察代を年間5000円を上限に実費支給。このほかに上質ティッシュ、目薬、マスクなどを希望者に配布している。

■デジタルフリー奨励金

[岩田製作所]岐阜県関市

▼スマホをやめて会話しよう!
「休憩中にスマートフォンばかり見て、社員同士の会話がない」ことに危機感を覚えた岩田修造社長の提案により、2013年に導入。スマホ(私用)を使わなければ月5000円支給される。現在は社員の約半数が受給。「そのお金を読書や映画に使って、アナログな時間を増やしてほしい。導入後は社内の会話が増えてにぎやかになりました」(総務部・岩田伸さん)。月に1度新聞の感想文を書くと月2000円支給される「新聞手当」もある(30歳までの社員が対象)。

■ペット慶弔手当

[日本ヒルズ・コルゲート]東京都千代田区

▼ペット死亡時には忌引休暇も
ペットフードメーカーの日本ヒルズ・コルゲートは、越村義雄元社長により、2005年に世界で初めて扶養ペット慶弔規程を制定した。犬か猫を飼い始めた社員には、1匹につき祝い金1万円と自社製のフード3〜4kg分。ペットを亡くしたときは、社長名の弔電とともに弔慰金1万円が支給され、忌引休暇1日が認められる。「飼い始めはお金がかかるし、葬式・埋葬をする人が増えているので、社員に喜ばれています」(人事本部長・安岡幸徳さん)

■近距離通勤手当

[はてな]京都府京都市

▼自転車好きの創業者が考案
ブログサービス「はてなブログ」などを手がける、インターネットサービス企業のはてな。創業者が自転車好きということもあり、運動不足になりがちな社員の健康を考慮して、2005年から導入した。オフィスの半径5km圏内に住む社員に月2万円が支給される。この制度に後押しされ、約半数の社員が自転車通勤をしているという。スリムになった、風邪をひきにくくなったという声もあり、単なる手当にとどまらないメリットを社員たちも実感しているようだ。

■サイコロ給

[カヤック]神奈川県鎌倉市

▼サイコロの出目で賞与が増える
アプリ開発などを手がけるカヤックが、1998年の創業時から取り入れている制度。毎月末にサイコロを振り、出た目の数(%)を基本給にかけた額が「運命給」として賞与に加算される仕組み。基本給30万円の社員が6(%)を出せば、1万8000円が賞与に追加される。「バスケットボール大の発泡スチロールのサイコロは、丸みをおびた形状。出目の確定直前まで揺れ動くので緊張します。最後に目が変わると、ギャラリーが沸きますよ」(社員)

■禁煙手当

[武蔵野]東京都小金井市

▼吸わない人に10万〜20万円支給
ダスキンの加盟店業務などを手がける武蔵野で、社員の健康を心配した小山昇社長が、2000年頃に導入。課長職以上は年間20万円、一般社員には10万円が支給される(支給率は勤続年数によって変わる)。現在、課長候補以上は禁煙が義務化されていることもあって、非喫煙者は全体の7割。禁煙宣言をしてから喫煙が発覚した場合は、手当の3倍の罰金が科せられる。このほかに、安全運転の年数によって年間最大6万円を支払う「安全運転手当」もある。

(小山内麗香=文 岡田 丈=イラスト)