クラフトビール版のソムリエ「シサローン」、取得で狙えるキャリアアップ

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クラフトビールの人気は米国でも急速に高まり、醸造所の数は大幅に増加している。今年末時点で、およそ5,000件に達する見通しだ。クラフトビール業界で働くことは、おいしいものに関心がある多くの人たちにとって、明るい将来を見込める選択肢の一つになりつつある。

ただ、「ビール業界で働く」とはどのような仕事をすることなのか、極めて曖昧だ。活気あるこの業界でキャリアを積む機会は、醸造技術から流通ビジネスまで、さまざまな分野にある。

つまり、ビール業界でのキャリアはガレージでビールをつくる小規模の醸造所から、ビールと料理の組み合わせを考えるレストランのマネージャー、新たなブランドと協力するマーケティングの専門家まで、非常に多岐にわたるのだ。

そのビール業界で働き始めるためにはどうすればいいのだろうか。調べてみると、効率的な方法があることが分かった。米カドゥケウス・コミュニケーションズ(Caduceus Communications, Inc.)が運営する「クラフトビール・インスティテュート」の認定資格を取得することだ。

ソムリエの世界を知っている人は大勢いる。だが、「シサローン」を聞いたことがある人は少ないだろう。ソムリエがワインの専門家とされるのと同じように、シサローンはビールに関する全てのことに精通した人たちだ。ただし、シサローンは必ずしもソムリエと全く同じではない。

シサローンの資格は認定プログラムによって厳しく管理されており、取得するにはビールの製造から保存、提供、消費までを含めたあらゆる側面に関するいくつもの問題を含むテストに合格しなければならない。一方、ソムリエはワインについての知識があってもなくても、自分で名乗れば誰でもなれる。

プロ意識と誇りが重要

シサローン認定プログラムの創設者であるレイ・ダニエルズは、醸造者組合の代表として全米の各地を回った経験を通して、ビールに関する知識があまりに普及していない事実を知り、状況の改善を図るために2007年、同プログラムを立ち上げた。

ダニエルズは自らの経験から、「ビールを提供する人たちが仕事に対するもう少しの誇りと、製品の提供におけるプロ意識を持てるようにするため、誰かが何かをしなくてはならない」と考えたという。

現在では、多くの醸造所直営パブやバーが従業員らにこの資格の取得を奨励、または義務付けている。オンラインで受験可能な認定ビール提供者の資格を取得した人は、世界各地の7万5,000人以上を数える。

同プログラムで取得できる認定資格は、以下の4つだ(数字は合格者数)。

・ビール提供者──約7万5,000人、オンラインで受験可能
・シサローン──約2,500人
・上級シサローン──20人、2015年に創設
・熟練シサローン──11人

シサローンの3資格については、北米の各地と英国、オーストラリア、アジアの各地で試験が行われている(中南米でも開始の予定)。これには、異臭の認識や風味の種類の特定に関する能力をみるためのテイスティングが含まれる。熟練シサローンの資格を取得することは非常に難しく、多くの合格者が何度目かの挑戦でやっと合格している。

数少ないこの資格の取得者の一人は、資格試験はさまざまなレベルの従業員に必要とされる知識の習熟度を判定するのに有効だと話している。また、ダニエルズはこれらの認定について、これからプロを目指す人たち、そして将来有望なプロたちが優秀な人材であることを証明する重要なものだと述べている。