中国企業が「ゴールデン・グローブ賞」に関わる権利を保有する制作大手も買収

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2016年も様々なニュースが映画業界を駆け巡った。その中から特筆すべき5大ニュースを振り返ってみる。

(1)年間興行収入新記録へ
16年の年間興行収入は、10月末時点で15年の約8パーセント増。『君の名は。』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『シン・ゴジラ』とヒット作が相次ぎ、映画界は活況に沸いた。15年の年間興行収入は2171億円。11月は『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、12月は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』など話題作の公開が続いており、3D映画ブームで沸いた10年に記録した史上最高の2207億円を上回り、新記録樹立となりそう。

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(2)日本のアニメ映画に力作揃い
『君の名は。』の記録的大ヒット以外にも、アニメ映画に力作が揃った。『聲の形』は『けいおん』シリーズで知られる山田尚子監督の新作。かつてガキ大将だった少年と聴覚障害を持つ少女の、小学6年生での出会いから高校生の現在を描く同名マンガのアニメ映画化。全国120館と中規模公開ながら興収23億円を記録するヒットとなった。
『この世界の片隅に』は第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を描く。全国63館でのスタートだったが、口コミで評判が広がり公開4週目には87館に拡大し興収は約6億円(12月11日時点)を記録している。

(3)4DシアターとIMAXが急増
シネコンの生き残り策として各社が導入している「4D体感型シアター」「IMAX」が急増している。4Dシアターは4DXとMX4Dの2種類あり、昨年末時点で4DXは全国33か所、MX4Dは全国10ヵ所、合わせて43ヵ所だった。今年は4DXが全国49ヵ所、MX4Dが全国16ヵ所、合わせて全国65ヵ所で22ヵ所増加した。一方IMAXは昨年の22ヵ所から28ヵ所に増加した。

(4)AT&Tがタイムワーナーを買収
米通信大手のAT&Tが米メディア大手のタイムワーナーを約854億ドル(約8兆8600億円)で買収することとなった。背景にあるのはネット動画の普及だ。ケーブルテレビや衛星放送など有料テレビから定額制のネット動画(特にネットフリックス)への切り替えが米国で進んでいる。AT&Tはスマホ向け動画の拡充のためにタイムワーナーのコンテンツを獲得する一方、タイムワーナーではコンテンツの供給先として有料テレビに代わりスマホに期待を寄せる。

(5)中国ワンダ・グループの「映画業界の爆買い」が加速
2012年に米国第2位のシネコンチェーン、AMCを買収して映画業界で脚光を浴びた中国ワンダ・グループ。今年は「映画業界の爆買い」が加速した。1月中旬にレジェンダリー・エンターテインメントを35億ドルで買収。同社は『パシフィック・リム』『GODZILLA ゴジラ』などを製作した製作会社だ。3月初旬に米国のシネコンチェーン、カーマイク・シネマズを11億ドルで買収。7月中旬に欧州最大手のオデオン・アンド・UCIシネマズを9億2100万ポンドで買収。11月初旬に米テレビ制作大手のディック・クラークプロダクションを約10億ドルで買収。「ゴールデン・グローブ賞」や「ミス・アメリカ」などに関わる権利を保有する会社だ。(文:相良智弘/フリーライター)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。