『ちはやふる-上の句-』 (C)2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社

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【元ネタ比較・番外編】
2016年ランキング 10位〜6位

この2016年も漫画、小説、映画、その他いろいろな元ネタから映画が生まれた。その中から筆者の心を動かした個人的なベスト10を決めたいと思う。しかしながら、2016年の映画界は原作を持たないオリジナル・アニメ『君の名は。』旋風が吹き荒れた。昭和のラジオドラマ『君の名は』と元ネタ比較しても面白みないし、いっそ『転校生』や『ディープ・インパクト』と比較してみては、と思ったがそれも嫌みだからやめておこう。『君の名は。』に1ミリも感動できなかった身としては爆発的ヒットが面白くない気がしてしまうが、アニメ作品のヒットの呼び水となってくれたことも確か。いい!と思った作品がヒットしているのは純粋に嬉しい。

16年興収ランキングはアニメ映画がズラリ!

まずは10位から6位の作品をご紹介しよう。

●第10位:『オーバー・フェンス』
『そこのみにて光輝く』の佐藤泰志原作の函館3部作のラストを飾るヒューマンドラマ。佐藤作品のなかでは飄々としたポジティブ感が漂う原作ながら、同作者の「黄金の服」を融合させてネガティブでドラマチックにアレンジ。しかし、蒼井優演じるメンヘラ女にいたずらに嫌悪感を持つだけの結果に。応援したいのに、期待していたのに、残念!

●第9位:『アイアムアヒーロー』
原作漫画では主人公の人間味あふれるくすぶった日常が描かれていき、単行本1巻のラストにして、ようやくゾンビ漫画という正体を現す。“日常”があってこそ“日常の崩壊”にゾッとさせられる原作なのに、映画版は日常描写もそこそこに、早々とジャンルムービーの様相を呈するのは口惜しい。それでも、ベスト10入りしたのはスプラッタが半端なくイッちゃってたから。それに尽きる。

●第8位:『溺れるナイフ』
ヒリヒリと痛い思春期の恋愛を描いた名作少女漫画を、菅田将暉と小松菜奈という独特の魅力がある旬の2人で映画化すると聞いて期待した。しかし、原作では小学生から始まる物語を、中学生に年齢設定を引き上げたため、子役を使わず菅田と小松が演じた中学生役は微妙な仕上がりだし、ローティーンの危うさは消えることに。結果、凡庸な青春ラブストーリー止まりとなった。

●第7位:『セトウツミ』
大阪の平凡な高校生2人が放課後にまったりとただただ他愛なくダベっている。それだけなのに妙に面白くて人気の同名少年漫画が原作。そもそも、こんなにドラマチックでもなんでもない青春の一コマを映画化したこと、しかもヘタにアレンジせずに忠実に映画化したことの潔さは買いたい。ただ、原作の再現に終わってしまったと言える。

●第6位:『ちはやふる』
モデル並みの容姿なのにガサツなのが残念なヒロインを演じた広瀬すずをはじめ、キャラが立ってる登場人物のキャスティングがしっくりとこなかった。しかし、作品のキモである、地味だと思われがちな競技かるたが、頭脳とスポーツの両面でハデに面白いことを十分に見せてくれている。

後編「庵野秀明のゴジラ愛、魅力倍増ののんの声、さすがの京アニ品質…今年のベストはこの映画!」に続く…