米IDCが先頃公表した、仮想現実(VR:virtual reality)と拡張現実(AR:augmented reality)のヘッドセット機器に関するリポートによると、これらを合わせた製品の今年1年間の世界出荷台数は約1030万台となる見通し。

米国と西欧市場が爆発的な勢い

 そしてこれらVR・AR用ヘッドセットは今後、年平均108.3%の成長率で伸び、2020年には7600万台に達するとIDCは見ている。

 今回のリポートに先立ちIDC Japanが公表したデータによると、今年7〜9月期におけるVR・ARヘッドセットの世界出荷台数は、1年前から681%増の306万台となった。この市場は昨年の1〜3月期以来拡大が続いているという。

 また四半期出荷台数は昨年10月〜12月から連続して100万台を超えており、各四半期の1年前に比べた伸び率も極めて高い水準。「VR・AR市場の立ち上がりが本格的に加速しつつある」と同社は報告している。

 この市場を地域別に見ると、アジア太平洋地域(日本を含む)は1年前から204%の伸びで、昨年以来の安定的な成長を維持している。

 米国と西欧の市場は、爆発的な勢いで拡大しており、今年7〜9月期におけるこれら3市場の合計出荷台数は世界全体の92%を占めた。

「ポケモンGO」の大ヒットでARに大きな動き

 IDCが推計する今年の年間出荷台数を機器別に見ると、VR用ヘッドセットが約1010万台、AR用ヘッドセットが約10万台。現在のところ市場は比較的低価格のVR用ヘッドセットが牽引しており、今後しばらくこの傾向が続くという。

 ただ、技術の低価格化や新規メーカーの市場参入が進むことからAR用ヘッドセットもやがて勢いを増していくとIDCは見ている。

 そして2016年は、AR市場にとって転換点の年だったという

 シニアリサーチアナリスト、ジテッシュ・ウブラニ氏は、「数百万人もの消費者が『ポケモンGO』を体験し、法人分野では企業や開発者が米マイクロソフトの『HoloLens』のようなヘッドセットを手に入れられるようになるなど、2016年はARに大きな動きがあった」と述べている。

 「ARは、スマートフォンに匹敵するような存在として、コンピューティングの世界に変化をもたらす方向に向かっている可能性がある」(同氏)

 (参考・関連記事)「『ポケモンGO』の成功で、期待に胸膨らますAR業界」

FB、ソニー、サムスン、グーグルなどが製品投入

 2016年は主要企業が相次ぎVR製品を立ち上げた。例えば、米フェイスブック傘下の米オキュラスVR、台湾HTC(宏達国際電子)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、韓国サムスン電子、米グーグルなどだ。

 そして今後1年、さらに多くのメーカーがこの市場に参入するとIDCは見ている。

 スマートフォンの画面をディスプレーとして使用するタイプや、パソコン・ゲーム機と接続して使うタイプ、さらに単体で動作するタイプなど様々な製品が登場するとIDCは予測。今後この市場は大変興味深いものになるだろうと同社は指摘している。 

筆者:小久保 重信