スカイトレインが走るタイの首都、バンコク


 2016年11月下旬、ダボス会議の運営メンバーの1人が数年前に立ち上げた「Horasis」がタイの首都、バンコクで実施されるにあたり、パネラーに加わってほしいとのリクエストがあったので、参加してきた。

 Horasisはダボス会議と趣旨が似ていて、官民問わず関係者が一同に会し、持続的な社会やビジネスの構築を目指して、さまざまなテーマのパネルディスカッションを行うというもの。

 どんな様子だったのか、全員参加のパネルの様子を動画でご覧いただきたい。

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 これは最も大きなパネルである。このほか、アジア地域のサステナブルな発展を皆で意見を出し合って考える分科会が、2日間で30セッションあまり開催された。

 Horasisでは、ほぼ「例外なく」誰もが何らかのパネルに参加して、意見をぶつけ合う。もちろんすべて英語である。

 日本からはグロービスの堀義人社長やケンコーコムの創業者、後藤玄利さんなど多士済々が参加していた。政界からは、河野太郎衆議院議員、元首相の鳩山由紀夫さんなどが参加し、政治的な観点からサステナブルな社会の実現方法を大いに語ってくれた。

(参考・関連記事)「海外では常識?生命保険を活用した相続税対策」

どこの国でも悩みは似ている

「Horasis」への参加は私にとって非常に意義があり、楽しみだった。理由は何を隠そう「アジアの富裕層経営者が数多く参加する」からだ。旅費はすべて自費、パネルでの発言には責任が伴う、そんなカンファレンスに好き好んで来る経営者はどのような人たちなのか?

 私が参加したパネルディスカッションのテーマは、「Nurturing Asian Family Business」だった。アジアのファミリービジネスを育てていくにはどうしたらよいのかについて、90分間議論するのだ。

 ミャンマーでファミリービジネスを引き継ぐことになった30代後半の女医(ミャンマー人)、シンガポールで船会社を引き継いだ4代目(インド系シンガポール人)らと一緒に登壇して、パネルディスカッションを行った。

 視聴者は60名前後。後で名刺交換してわかったことだが、その中の約半数が、モナコやベトナム、香港、インドネシアなどでファミリービジネスを継承しなければならない運命にある30代の男女だった。

 私自身のビジネスはファミリービジネスとは程遠いが、当社のビジネスの性質上、ファミリービジネス経営者と話すことが多い。そんな理由から、私にパネルへの参加をリクエストしてきたようだ。

 パネラーたちの自己紹介の際に感じたのは「どこの国でも悩みは似たようなものだな」ということだった。

 本当は医者の道に進みたかったのに父親の大病をきっかけにファミリービジネスに舞い戻ったミャンマー人、IT技術者として頭角を現していたけれども船会社を引き継ぐことになったシンガポール人・・・。その悩みは、個人の意思とファミリービジネスのはざまで揺れ動く日本のファミリービジネス継承者とまったく同じだった。

ファミリービジネス継承者がもらした本音

 ここで、私がパネルで提起したことと、そのやり取りを書いておこう。

私「日本のファミリービジネスは上場する会社が増えている。どう思うか?」

シンガポール人「信じられない。それを私はファミリービジネスとは呼ばない。買収されたらどうするのか?」

ミャンマー人「なんのためなのかが分からない。他人に株式をもってもらうようなことは私の代では考えられない」

香港人「いいじゃないか、日本のファミリービジネスは上場して資金調達して、もっとグローバルな同業を買収することを考えるべきだ」

 やはり相続税の有無が考え方の圧倒的な違いにつながっていることを改めて強く感じさせられた。

 また、最後の最後のところで、みな異口同音に「私たちは自分の意思を曲げてファミリービジネスを継承したが、息子や娘がそうしてくれるかどうか分からない」と本音をもらしていた。このあたりの悩みも日本のファミリービジネスと共通しているようだ。

 私が「だからこそ、オーナーシップを持ちつつも、優秀な経営者を見つけることがアジアのファミリービジネスを育てていくには必要ですよね」と締めくくると、みなさんが拍手で賛同してくれた。どこの国でも、それほど事業承継の悩みは深いのである。

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筆者:増渕 達也