映画『パンドラ(原題) / Pandora』より

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 原子力発電所の事故を描いた韓国のディザスター映画『パンドラ(原題) / Pandora』が今月7日に韓国で公開され、公開12日目の19日に観客動員300万人(韓国映画振興委員会調べ)を突破した。福島第一原発事故をモデルにしており、このほど招待上映された第1回マカオ国際映画祭でパク・ジョンウ監督は「これを機会にエネルギー資源に関する議論が各国で起こり、世界がより安全で住みよい場所になれば」と製作への思いを語っている。

 同作は、韓国で史上最大級の地震が発生し、建設から40年を超えた老朽化原発で事故が発生。原発職員らが命がけで事態収束に挑む姿を描いている。冷却装置が機能せずメルトダウンの危険がありながら国民はもちろん地元住民に情報を隠蔽しようとする展開など、日本人にとってはデジャブかと錯覚するシーンの連続だ。

 パク監督は「企画の発端は、福島第一原発事故。同じ原発保有国である韓国で同様の事態が起こったら? と考えた。事故が発生した場合の正確なデータ集めや、ロケ地探し、さらには原子力発電所のセット制作などに困難と時間を要し、製作から完成まで4年の歳月がかかりました」という。

 劇中には爆発事故で被ばくし、原発職員から多数の犠牲者が出るというシーンもかなり切り込んで描いている。もっとも現実を知る多くの日本人にとっては、まだまだ放射能の危険性に対する認識が甘いのでは? と疑問を呈したくなる場面が多々あることも否めない。

 だが監督の狙い通り原子力政策、特に運転期間40年制限問題に警鐘を鳴らす役割は十分に果たしていると言えるだろう。韓国でも9月に、南東部慶尚北道慶州市付近でマグニチュード5.8を記録する地震が発生し、同市にある月城原発の運転が全面停止となった。だが今月、原子力安全委員会が再稼働を承認したため、地元住民や環境団体が反発中だ。そんな状況もあり、今月14日にはソウルのパク・ウォンスン市長と国会の野党議員が連れ立って同作を観賞している。

 ちなみに同作は、劇場での上映は韓国国内とマカオ国際映画祭のみだという。今度はNetflixで世界190ヶ国に向けて配信されることが決まっており、韓国での反響の大きさがどのように世界へと波及していくのか注目したい。(取材・文:中山治美)