日光浴が「近視」を防ぐ!?(shutterstock.com)

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 昔から日本人は「近視の多い民族」と言われ、欧米の映画作品中で描かれる典型的日本人像も眼鏡装用の場合が少なくなかった。

 近視の原因には古今東西で諸説あるが、こうした民族間の近視発生率の違いが「遺伝説」の論拠にもされてきた。しかし、今回の知見は、もう一方の有力説として知られる、「環境説」の優位性を示唆している。

若い頃にどのくらい日光に浴びたかが「近視」に影響

 英キングス・カレッジ・ロンドンのKatie M. Williams氏らの研究報告によれば、年少期に「屋外」で過ごす時間に恵まれたヒトの場合、近視をいくらか予防できる可能性が読み取れたという。

 研究に際しては、65歳以上の欧州人が協力し、近視の371人と近視ではない2,797人に関して様々な解析が行なわれた。近視は通常、8〜12歳までの期間に発現し、多くの場合が青年期を通じて徐々に進行し、成人期で頭打ちになるとされている。

 一方、ヒトの生涯の日光曝露量はその50%以上を18歳になるまでに浴びるといわれ、眼中のレンズが濁る「白内障」や白目の充血で目が汚れる「翼状片」、網膜に生じる「黄斑変性」などの眼障害は、多少の年齢を経てから自覚される。

 Williams氏らの調査では、上記の被験陣に対し、14〜29歳の時期の「日光曝露」、とりわけ「UVB曝露の量」についても設問し、つぶさに検討を重ねた。その結果、学歴が高い層ほど近視の確率が高く、UVB曝露量が多いと推定された層ほど近視人口が少ないという傾向が認められた。

紫外線B波(UVB)を産生させる「ビタミンD」が影響か?

 そこで研究陣は、太陽の紫外線B波(UVB)が近視の軽減になんらかの有効な役割を果たしていると結論づけた。

 UVBは「ビタミンD」を産生させる作用を持つことでも知られ、このビタミンDが不足気味だと近視になりやすいとする学説もある。ビタミンDは、カルシウムの代謝バランスを整え、骨や歯を丈夫にし、免疫系の機能にも有効な役割を持つ。

 米オハイオ州立大学の研究陣が韓国人を対象に大規模解析を実施した報告でも、強度な近視の児童ほど「血中ビタミンDが不足しがち」という傾向が明かされている。

 このオハイオの報告は「親が近視なほど子どもも近視」と遺伝的要素も加味しつつ、「屋外遊びが長い児童ほど近視になりにくい」「屋内で過ごす時間が長い児童程近視になりやすい」と、今回のロンドン勢の知見と一致している点もある。

 しかし、Williams氏らの報告を丁寧に読むと、前掲のビタミンDと近視の関連性については「認められなかった」と言及しており、その点では見解が分かれている。もっとも、今回の研究も因果関係を証明する志向性は持たず、あくまでも関連性を示したものに過ぎないが......。
「近視大国」ニッポン! 小学生は30.7%、中学生は54.4%、高校生は63.3%が視力1.0未満

 豪州ブライアン・ホールデン視覚研究所の推計によれば、2000年時点で世界人口の約23%(約14億人)が近視であり、2050年を迎える頃には予測人口のほぼ半数(49.8%=47億6000万人)が近視になる――。

 というスマホ世代の将来像については過去記事でも紹介した(参照「2050年には人類の半分が近視に!〜強度近視の合併症が失明を招く」)。

 「近視大国」ニッポンでは、小中高生の視力低下が止まらず、文部省時代からの学校保健統計調査で世代比較してみれば事態の深刻化は明らかだ。

 1950年の近視率は小学生で6%、高校生でも12%前後だったのが、2012年度の調査結果では視力1.0未満の割合が小学生30.7%、中学生54.4%、高校生においては63.3%という驚愕の悪化傾向が浮き彫りにされた

 上記の数字は史上最悪の数字らしいが、これは「生まれた時から液晶画面世代」の弊害サンプルなのだろうか。もし、あなたが「生まれた時からポケモンGO世代」の愛児を子育て中であるならば、Williams氏らの次の見解を母心に刻むべきだろう。

 「われわれの生涯における年間UVB曝露量は、屋外での日光曝露時間に直接関係しており、それが近視の確率低減に関連することが分かった。とりわけ14〜29歳の時期のUVB曝露量は、成人の近視リスク低減に最も大きく影響を及ぼしていた」

 自らスマホ依存傾向を認めている親御さん方に、もう一度言っておこう。「ポケモンGOは屋外遊戯だから一石二鳥だわ!」なんて思い違いはくれぐれもなさらないように。わが子と日光浴に出かける際は<スマホ断ち>、それくらいの母心で優良児を育てましょう。
(文=編集部)