ウーバー、自動運転「停止命令」に反発 赤信号無視も問題化

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サンフランシスコで自動運転車の公道テストを開始したウーバーは、カリフォルニア州運輸局(Department of Motor Vehicles、 以下DMV)からの中止要請を無視してテストを続行する意向を表明した。自動運転車の公道テストを行うためには、DMVから許可を得た上で150ドルの費用を支払う必要がある。12月16日には、州の司法当局がウーバーの自動運転車プロジェクト責任者であるアンソニー・レバンドウスキー(Anthony Levandowski)宛てに書簡を送り、テストを即刻中止するよう求めた。副検事総長は、「ウーバーが警告に従わない場合は差止命令を発する」と述べている。

一方のウーバーのレバンドウスキーは、12月16日に行われたカンファレンスコールの中で次のように主張した。「サンフランシスコとピッツバーグでテスト中のウーバー車両は、運転席に人間のドライバーが座り、問題が起きた場合にはいつでもハンドルを握る準備をしているため、自動運転車とは呼べない。DMVがテスラのオートパイロット技術は容認し、我々にだけ取り締まるのは理解に苦しむ」

DMVは今週、レバンドウスキーに書簡を送り、改めてウーバーのテストが違法であると警告した。DMVの局長代理であるBrian Soubletは書簡の中で、「テストを中止して許可申請の手続きを取らないのであれば、法的措置を取る」と述べている。

ウーバーが頑なに警告に従わない理由は不明だ。グーグルやテスラ、フォード、ホンダ、日産などの大手からDrive.aiのようなスタートアップまで、これまでに20社が許可を取得している。150ドルの支払いを拒んで法廷で争えば、比較にならないほど大きなコストがかかることになる。

許可申請をする場合、企業側は事故データをはじめ、いつ自動運転システムが停止して人間のドライバーが操作を行ったのかといった詳細な情報を提出する必要がある。州としては、これらのデータをもとに各社のテクノロジーの洗練度を測定したい考えだ。ウーバーはこうした情報を公表したくないのかもしれない。

赤信号無視の動画が公開

カンファレンスコールでレバンドウスキーはテスラのオートパイロットシステムを繰り返し引き合いに出し、「テスラ車のオーナーが許可を得ずに公道を走行できるのに、ウーバーが似た技術をテストするのにどうして許可が必要なのか」と疑問を呈した。テスラは完全自動運転車を競合他社に先駆けて開発することを目指しているが、現段階で提供しているオートパイロット技術は「半自動運転」で、ドライバーが長時間ハンドルから手を放すと自動運転システムが停止する仕様になっている。メルセデスベンツやBMW、インフィニティ、アキュラなど、多くの自動車メーカーも半自動運転技術を採用しており、いずれの場合も人間のドライバーのエンゲージメントを必要としている。また、テスラは完全自動運転車のテストを行うための許可をDMVから取得している。テスラにレバンドウスキーの発言に対するコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。

ウーバーと規制当局との論争が発生したのは、同社がボルボ製の「XC90 SUV」に最新のセンサーやソフトウェアを搭載して、サンフランシスコで公道テストを開始した直後のことだ。ボルボはこれまでウーバーとの取組みを大々的に宣伝していたが、今回の騒動については沈黙を保っている。

米国の規制当局は、9月に自動運転車の公道実験のためのガイドラインを発表している。カリフォルニア州では、グーグルが2009年に公道テストを開始して以降、最も多くの企業がテストを行っている。ウーバーは、自動運転車技術でリーダーになり、ゆくゆくは全車両をロボットカーに置き換えることを目指している。

サンフランシスコの日刊紙「San Francisco Examiner」は、ウーバーのテスト車両が赤信号を無視して走行する動画をウェブサイト上で公開した。ウーバーは同紙に対し、「本件については現在調査を行っています。当社にとっては安全が最優先事項です」と述べている。

テスト車両が自動運転車でないとウーバーが主張し続ける限り、事態の悪化は避けられないだろう。しかし、前の座席に人間が2名座っていることを考えると、自動運転車という表現には無理がある。現段階では、ウーバーが司法当局やDMVの警告に従う様子はなく、両者の争いは激しさを増すことが予想される。