1977年にアタリから発売されて一大ブームを巻き起こした家庭用ゲーム機のAtari 2600ですが、「史上最低のゲーム」と呼ばれるゲーム「E.T. The Extra-Terrestrial(E.T.)」が登場したことでそれまでの好調が一転します。そんな「E.T.」の生みの親であるゲームプログラマーのハワード・スコット・ウォーショウさんが、当時の開発秘話を語っています。

The Story Behind the Worst Video Game of All Time - YouTube

しばしば「歴史上最悪のTVゲーム」と呼ばれるのが、Atari 2600用ゲームとして登場した「E.T.」。



「雑誌で自分の作ったゲームが『1980年代初頭にビデオゲーム産業を破壊した原因である』と書かれているのを読みました」



「周りの人は僕に『E.T.』については聞いてきません。なぜなら、みんなは僕がこのゲームのことを気にしていると思ってるからです」



「『オーマイガー。史上最低のゲームを作ってしまったんだね、隠れたくなっちゃわないの?』なんて揶揄されることはありません」



……と語るのは、「E.T.」の開発者である元ゲームプログラマーのハワード・スコット・ウォーショウさん



ウォーショウさんは1980年代にアタリのゲーム開発を担当したゲームプログラマーのひとりです。



数々のAtari 2600用ゲームを開発しており、開発したゲームは多くの人々に愛されました。



ウォーショウさんは「僕はYars' Revengeを作ったあとにレイダース/失われたアーク《聖櫃》を作り、2つのゲームで大成功を収めました。この2つのゲームはミリオンセラーを達成しています。当時の僕は自分が関わったゲームは全て成功すると信じていました」と、Atari 2600用ゲームの開発に携わっていた頃のことについて語っています。



ある日、ウォーショウさんはアタリのCEOから電話を受け、「これまでで最高のゲームを作ってほしい」と依頼を受けます。そして、そのゲームタイトルというのが大ヒット映画「E.T.」のゲーム化タイトルだったというわけです。



「僕らは断然やりたいと思った」と、当時の心境について語るウォーショウさん。



「有名な映画作品をゲーム化する企画でありながら、制作期間はわずか5週間しかありませんでした」



「そのため、制作期間は休む間もなくゲーム開発に取り組んでいました」



……と、制作期間が非常にコンパクトであり、かつ、非常にハードであったことを語ります。



「『E.T.』は基本的にはパズルゲームで、問題を解くために色んな場所を歩き回ります」





ゲームがリリースされる際、大ヒット映画のゲーム化ということで何百万本以上製造されたそうです。しかし、2、3ヵ月後には状況が一転します。



何百万本も製造された「E.T.」ですが、まったく売れず、アタリは大量の在庫を抱えることとなってしまったのです。



最高のゲームを作れなかった理由は、粗末な計画とタイトなスケジュールなどさまざまですが、それらによりウォーショウさんはE.T.が穴に入って動けなくなるバグなど、開発における基本的なミスを処理しきれなかった模様。



「E.T.」のリリース直後から、アタリの評判は一気に落ちます。さらに、「E.T.」のセールスは期待外れとなり、アタリのミスマネジメントが注目されるようになっていきます。



「リリースあとの2、3ヵ月でアタリは1万人いた従業員を2000人にまで減らしました」とウォーショウさん。その後、ウォーショウさんはゲーム業界から永久に離れることとなります。



ウォーショウさんはその後10年、ゲーム「E.T.」について特に考えることはなかったそうです。「1990年代初頭になると、ゲーム『E.T.』はなんて最悪なゲームなんだ、と皆が話しはじめました。それを聞いた時、あのゲームについてみんなが話していることに本当に驚きました」とウォーショウさん。



そして、最近になっては「こんにちは。アタリがリリースしたゲーム『E.T.』がニューメキシコ州の埋め立て地で発見され、再び売りに出されています」というニュースまで飛び出す事態に。



ゲーム「E.T.」がアメリカのニューメキシコ州にある「ビデオゲームの墓場」と呼ばれる埋め立て地で発見されたことは大きなニュースとなり世界中で話題を呼びました。

都市伝説が本当に、「ビデオゲームの墓場」で史上最低ゲーム「E.T.」が発見される - GIGAZINE



通称「ビデオゲームの墓場」で発掘された「E.T.」はオンラインマーケットプレイスのeBay上で売りに出され……



あれだけ売れずに困ったゲームが何百ドルという高値で取引されました。



ウォーショウさんが30年以上前にわずか5週間で作ったゲームですが、いまだにいろんな意味での熱狂や興奮を生み出しています。



「今もこのゲームが話題になることに、私はとても感情的になる」



「なぜなら、私はいまだにこのゲームが話題の中心になることにとても大きな意味があると感じているからです。「『E.T.』のゲームは失敗ですか?」と皆が質問してくることを私は気にしていないし、私にとっては決して失敗作ではありません」とウォーショウさん。



ウォーショウさんは過去にもBBCでゲーム「E.T.」に関するインタビューに応えており、その内容は以下の記事でチェックできます。

「伝説のクソゲー」を開発してアタリを崩壊させた1人の男 - GIGAZINE



なお、ゲーム「E.T.」の登場からアタリが崩壊していく様子をドキュメンタリー映像にした作品「ATARI GAME OVER」もあり、こちらも一見の価値ありです。

ATARI GAME OVER(字幕版) - YouTube

「ATARI GAME OVER」はDVD化されており、Amazon.co.jpでは税込4854円で購入可能です。

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