「眠れる森の美女症候群」を抱える英21歳女性(出典:http://www.mirror.co.uk)

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世界で1,000人ほどが患っているとされる「クライン・レビン症候群」は別名「眠れる森の美女症候群」とも呼ばれ、その名の通り眠り続ける不治の病だ。その症状は数日から数週間にわたり、連続した睡眠状態と睡眠障害を伴うと言われる。このほど英紙『Mirror』が、あるイギリス人女子大生はこの病によって「今年のクリスマスも、楽しみを睡眠に奪われないか」と不安になっていることを伝えた。

英ノーサンプトンシャー州ウェリングボロー出身の大学生、ジェマ・ガーファースさん(21歳)は「クライン・レビン症候群」を患っている。

非常に稀な神経疾患であるこの奇病は、過去に男性のみが発症するという報告もあったが、最近では女性の患者も判明し「眠れる森の美女症候群」と呼ばれて一般的に知られるようになった。原因は今のところ解明されておらず、極度の疲労や妄想、ヒステリックな態度やストレスなどを生じさせると言われている。

ジェマさんは2011年2月、15歳の時に母親のマンディーさん(45歳)とショッピングに出かけた際に居眠りをしたことがきっかけで病状が発覚した。その日の夜、うつらうつらと夢の中にいるような感覚になったジェマさんは、同じことを繰り返すなど態度も奇妙だったため、心配になったマンディーさんがNHS(英国営医療サービス)の緊急コールセンター「111」へ連絡、ジェマさんは救急車で病院へ搬送された。

病院では血液検査や尿検査、心拍や脳波のチェック以外に、腰の骨に小さな穴を開けることで脳脊髄液を採取し、髄膜炎、脳腫瘍、くも膜下出血などの診断をする「腰椎穿刺(ようついせんし)」と呼ばれる検査も行われた。ジェマさんは病院に運ばれるや否や深い眠りに落ち、そのまま14日間も眠ったままになってしまった。

その後5か月間で、ジェマさんは2回も長い眠りに落ちたという。そして数回にわたる検査の結果、同年8月にようやく「クライン・レビン症候群」と診断された。

この奇病によりジェマさんは普通の生活を送ることが困難になり、大学も数週間休まなければならないこともあった。ジェマさんが睡眠障害に陥っている間は、マンディーさんに1日に2度起こされて食事とトイレを済ませるという。

そして2013年の12月22日、自室でクリスマスプレゼントを包んでいた時にも睡眠に襲われた。家族や親戚が集まり楽しく食事やプレゼント交換をしていた最中にジェマさんは1週間眠り続けてしまい、楽しみにしていたクリスマスを逃してしまった。

現在、バーミンガムでメンタルヘルスの看護を勉強しているジェマさんは「この時期はみんなクリスマスを楽しみにしているのに、私にとってはまさに葛藤です」と英紙『Mirror』に話している。「いつ眠りに襲われるかわからないし、自分ではコントロール不可能なんです。すでに一度クリスマスを逃しているし、以前のように楽しみには思わないようにしています。だいたい私が好きなイベントや特別な日に限って起こるから、もう悲しくて」と、ジェマさんの中でその不安は日に日に膨らんでいるようだ。

3年前は、クリスマスを逃したものの12月29日に目覚めたそうだ。今年は、10月に起こったものを含め4回の睡眠障害を経験しているために、「クリスマスや大晦日辺りにまたなるのかも」という不安が拭えないジェマさんだ。特定のアルコールを飲んだり疲労が蓄積されると起こりやすいということで、クリスマスのためにと今はアルコールを止め、たっぷり8時間の睡眠を取るようにしているそうだ。

自分の意思に関係なく突然訪れるこの疾患は、第三者から見ると怠惰に思われがちなために周りの理解を得ることが難しい。この5年間で30回ほどの「眠れる森の美女症候群」を経験したジェマさんは、今年は恋人のグレッグ・ロイドさん(24歳)にもサポートされて、最高のクリスマスを過ごすことを夢見ている。

出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)