最終回直前、法門寺沙羅駆(織田裕二)とマリア・T(中谷美紀)の戦いも佳境にさしかかっている日曜劇場『IQ246〜華麗なる事件簿』(TBSテレビ系・日曜21:00〜)。


IQ246を持つ主人公・沙羅駆は、新種のウイルスを浴びて死にそうになったり、逮捕されたり、銃で撃たれたり。

対するIQ300の持ち主マリア・Tも、逮捕されたり、留置所で毒薬を飲んで死んだり、やっぱり死んでなかったり……。
→最終回レビュー

「超絶IQの持ち主にしては少々バカ過ぎないか?」というポイントはあるものの、とにかくお互いにあざむき、あざむかれの頭脳バトルが繰り広げられ、先の読めない展開にメチャクチャ盛り上がりを見せている……はずなのだが、ギリギリ10%台をキープしていた視聴率を、最終回目前の第9話で9.3%へドーンと落としてしまったようだ。

今時、視聴率が判断基準のすべてではないだろうが、ここにきて一気に視聴率を落としてしまったのはなぜなのか。

沙羅駆はいつからそんなに正義漢になったんでしょう?


普通の連ドラなら、序盤には主人公があれこれと迷っていたとしても、第9話ともなれば明確な最終目標を見つけ、あとはそれに向かって一直線に突き進んでいくだけ。物語も一緒にグイグイ盛り上がっていくというもの。

ところが『IQ246』に関しては、登場人物たちが「最終的に何がしたいのか?」が、最終回1話前に至ってもボンヤリしている印象だ。

まあ、沙羅駆がマリア・Tとの頭脳バトルに勝利して逮捕、ないしマリア・T死亡みたいなところが結末なのだろうけど、現在に至るまでふたりの「過去の因縁」とやらがほとんど描かれていないので、どうしてそこまでマリア・Tにこだわるのかがよく分からない。

沙羅駆が正義感に燃えたキャラクターであるならば、犯罪指南をしているマリア・Tを許せないというのも理解できる。

でも沙羅駆って、正義感もモラルもまったく関係なく「ヒマだ」というだけの理由で事件に首を突っ込んで、面白そうな謎を解き明かしてきただけのおっさん。だからこそ「犯人が逮捕されるされないに関しては興味がない」と言っていたのに!

そんな沙羅駆が、どうしてマリア・Tに対してはやたらと正義感を振りかざしているのか?(最近の事件では妙にモラルを説いていたりして、キャラがブレてるなーとは思っていたが)

一方、マリア・Tが犯罪指南を繰り返している理由も明確にはなっていない。

「美しいわ……やはり死こそ至高の美」とか「この世はお金のあるなしで優劣がついている、私はそれをなくしたいの」など、それっぽい発言はしているものの、イマイチ一貫性がなく(貧乏人を殺す指南もしているじゃん!)マリア・Tの行動原理はよく分からない。

また、沙羅駆とマリア・Tの絡むシーンが妙に色っぽく描かれており、「ふたりの間には恋愛感情的な深い絆もあるのでは?」と思わせたりもするものの、具体的にどうこうということはなさそうだったり。

もうね、このドラマ、全体的に思わせぶりなのだ。

面白くなりそうなシーンやエピソードは次々登場するものの、ちゃんと消化されないまま通り過ぎてしまうことが多く、ワクワクした視聴者の感情はやり場を失ってしまう。

未消化エピソードを最終回で回収してくれるのか?


第9話でいうと、

・長年日本の政財界を牛耳ってきたというメッチャ偉い人「御前様」が唐突に登場(しかし特になにもせず)

・「沙羅駆のことを実の息子以上に大切にしてきた」元執事の賢丈(寺島進)が事故って死にそうに(その後どうなったか言及なし)

・かつてマリア・Tに騙されて沙羅駆を殺そうとしていたという賢正(ディーン・フジオカ)の過去発覚(詳細不明)

・賢正が子どもの頃、沙羅駆とはじめて会った時に「剣というものは人を守る道具にも、人を殺す道具にもなる。たとえ天才であっても使い方を誤っては意味がない」とか言って感心させたらしい(セリフでの説明のみで回想シーンなし)

・極太ハマキをくゆらせながら拳銃の手入れをするおディーン様(なんでこの人、時々ハマキ吸ってるんだろ?)

そうそう、留置所内で毒薬を飲んだと見せかけて病院に運んでもらい、そこにある死体に特殊メイクをほどこして自分そっくりに仕立て上げ、まんまと逃げおおせたマリア・Tの逃亡手口も「で、どうやってそんなミラクルなことをやれたの?」という説明はなし。

「IQ300あるからできたんだ! 説明する必要はなし!」ということ!?

このように、「えーっ、これからどうなるの!?」「どうやってこんなことが?」と盛り上がった期待感をスルーされっぱなしでは、視聴者の気持ちもモヤモヤするばかりだろう。

もちろん、最終回でバンバン伏線回収して、そんなモヤモヤ感を一気に解消してくれるという可能性もなくはないが……。時間、足りるかな?

いや、ボクは信じてる! 未消化のまま放り出されているエピソードを、最終回でちゃーんと回収してくれるって。

だって「あの話、どーなったの?」ということ、いっぱいあるんだよ。「そもそも長男にだけIQ246の頭脳が遺伝する家系って何なの?」とかさぁ!

「いやー、気持ちいいようにすべての謎が解き明かされましたねぇ〜」となるのか「バカヤロー! 何だったんだ、あの思わせぶりなエピソードは!」となるのか、明日の最終回レビューをお楽しみに!

「to be continued...(シーズン2に続く)」とか「映画版制作決定!」というパターンもあったりして。それはそれで楽しみだけど……。
(イラストと文 北村ヂン)