こんな例もある。ある40代の女性が「咳と痰が慢性的に続いて困っている」と、医師に診てもらうことにした。
 医師が胸部レントゲン検査をしたところ、肺に異常な影が見られたため、入院してさらに調べると、「パスツレラ」という菌による感染症と判明。これは、ペットとして可愛がっている犬や猫と毎朝、お目覚めのキスをしていることで起こるもので、唇をはじめ、顔中を舐め回すなど、目の中に入れても痛くないほど可愛がっているうちに感染してしまったのだ。
 「『パスツレラ菌』は動物が保有しており、犬、猫の上気道や口腔に存在しています。この例は女性の度重なる“ディープなキス”が感染源だったわけですが、噛み傷や引っ掻き傷でも人間の皮膚や皮下組織に感染することがある。“人畜共通感染症”とも呼ばれ、近年は増加の一途をたどっています」(医療関係者)

 また最近、間質性肺炎の一つである「特発性肺腺維症」と診断されている中に、実は「鳥関連過敏症肺炎」の症例が多いと考えられるようになった。
 東京医科歯科大学とともに研究に取り組んできた豊島区の大谷クリニック・大谷義夫院長は「特発性肺腺維症を調べたところ、半数以上が“原因不明”ではなく、『鳥関連過敏症肺炎』でした」と著書で記している。
 「鳥関連過敏症肺炎」は、鳥が原因で、咳、痰、呼吸困難、微熱が主な症状。進行するにつけ、呼吸困難がひどくなり、ある段階をすぎると死に至る。

 これまで「鳥関連過敏症肺炎」を特定する血液検査は、東京医科歯科大学でしか行われていなかった。そのため診察したクリニックの医師が、患者を東京医科歯科大学につなぐことができなければ、「間質性肺炎→しかし、原因は分からない」となり、ほとんどが「特発性肺腺維症」に分類される結果になっていた。
 前出の大谷院長は「最近は一部の検査会社でも行われるようになりましたが、保険適用外なのです」と言うが、疑う要素が少しでもあれば、完全自費であっても調べる必要があるという。
 「ある50代の患者は、自身は鳥を飼っていませんでしたが、隣家がレース用の鳩を飼っていたことで発症しています。ハト小屋を撤去後もハトの糞が大量に残っていたうえ、隣家以外にも付近でハトを飼う家が数軒あったため、病状は改善せず、病名判明後、7年で亡くなりました」

 他にも、自宅でインコを飼っている患者が呼吸困難を訴え、肺を調べたところ「鳥関連過敏性肺炎」が判明したケースがある。ハトが集まる神社の掃除を続けていたことで発症した患者もいるという。
 医療ジャーナリストの深見幸成氏は、さらにこう付け加える。
 「これまでに2〜3年間、鳥を飼った経験がある、または羽毛布団を使っている方。自宅の庭やベランダなどに鳥の糞がある、さらに鳥の多い神社や公園などに隣接する場所に住んでいる方などは、リスクがあると考えたほうがいいでしょう。ただし、羽毛布団に関しては、使ったからといって必ず『鳥関連過敏性肺炎』を発症するわけではありません」

 我々は生きている限り、肺で呼吸をし続ける。その肺に感謝しつつ、異変が起きた場合は、すぐに医者に診てもらおう。