実写企画の経緯について明かす日野晃博氏

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 「(主人公が住む)さくらニュータウンの場合は日本の日常的な風景ということで、むしろ実写でもいいんじゃないかと思っていて。実写にCGを組み合わせたテスト映像を試験的に作ってみたら、面白い映像ができあがったんです」。「妖怪ウォッチ」シリーズの生みの親である日野晃博が、劇場版第3弾を実写とアニメのハイブリッド作品として制作した経緯について明かした。

 劇場版第3弾『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』で製作総指揮/原案/脚本を務めている日野。前作『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』を制作していた2015年秋の段階から、実写パートの構想は既に浮かんでいたという。もともと実写作品を作ることに意欲的だったスタッフたちのテスト動画を見て、「次はこっちの方が面白いかもしれない」と判断し、一度は総実写+フルCG作品として今回の映画を作ることを検討したそう。

 しかしフルCGとなると、制作に2年以上かかることから第3弾として作ることが難しくなる。だがいち早くユーザーに、実写の「妖怪ウォッチ」の映像を見てほしい。しかし、アニメやゲームでしか「妖怪ウォッチ」に触れていない子供たちに、どのようにして実写の部分を「妖怪ウォッチ」の世界だと理解してもらうか。さまざまな葛藤を抱く中で、それを一度に解決するアイデア、アニメのキャラクターたちがアニメと実写の世界を行き来して展開する物語が日野の頭に浮かんだ。

 すでに子供向けではなく、ファミリー向けのコンテンツとして成長していた「妖怪ウォッチ」だからこそ、「実写の映像が出てくると、大人も観てみたいと思ってもらえるかな」と感じていたとのこと。しかし、大人目線でしか楽しめない作品ということではなく、あくまでも子供目線で楽しめる、アトラクションのようなエンターテインメント作品として制作した。例えばアニメの世界のかわいらしい女の子が、突然実写の女の子になったとき、アニメの世界からやってきた主人公の男の子の目には、彼女が色気のある女性として映るようになる。主人公のクラスメートである男の子は、実写パートになれば30歳の澤部佑が演じている。アニメの世界が実写の世界に変わったとき、子供視点ではどのような変化が起こるのか。大人たちは2か月の脚本会議などを経て真剣に考え抜いた。

 実写パートを制作していく上で、アニメと実写のテンポの違いにも直面したという。「アニメでのテンポの速さに合わせて、実写でもテンポを速めて作ろうとしていたんですが、それでも実写のテンポが遅くて、待っている感じがするんです」。常に時間との戦いを繰り広げながら、修正を重ね、『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』は完成した。

 本作に確かな手ごたえを感じているという日野。もしも今後十分な制作期間が取れるのであれば、全実写の作品も作られることがあるのだろうか? 「全て実写の作品も作ってみたいねということは冗談で話していましたけど、家族みんなで楽しめる作品を今までも作ってきたので、それを実写でも表現できるのであればやってみたいと思います。ピクサーのようなフルCG作品もやってみたいですね。実はまだまだ色んな計画を立てているんです。毎回新しいことをやろう、ユーザーを驚かせようという部分は、常に僕らが気を使っていることでもあるので」。(編集部・井本早紀)

『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』は全国公開中