福島県の避難区域でアライグマ急増。避難住民の家に入り込んで糞尿をまき散らす/(C)NTV

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12月18日(日)深夜2時10分から放送される「NNNドキュメント'16」(日本テレビ系)は、福島中央テレビ制作の一編(※放送時間は変更の場合あり)。『その哭き声が聞こえるか〜避難区域の動物たち〜』と題し、原発事故で生きる道筋を狂わされた動物たちの姿を追う(タイトルの「哭き声」は、「なきごえ」ではなく「こえ」と読む)。

【写真を見る】非難地域において野生化が進むネコ。保護しようした男性に牙を向けて激しく威嚇する/(C)NTV

'11年の原発事故で、人が住めなくなった福島県の避難区域では、動物たちが繁殖を繰り返し、増え続けていた。

避難区域で最も目立つイノシシは、餌を求めて田畑や家を荒らす厄介者。家畜だった豚と交配して数を増やし、駆除が追い付かない。

79歳の男性は、4年前から南相馬市小高区で試験的なコメ作りを続けているが、収穫前にイノシシにコメを食い荒らされてきた。今年、小高区の避難指示は解除され、男性もコメの収穫にこぎつけた。

しかし、この区域でイノシシと人が共存できるわけではない。イノシシ除けの電気柵で囲まれた男性の田んぼの周りには、コメを狙ってうろついたイノシシの足跡が無数に残っていた。

同じく旺盛な繁殖力で急増したのがアライグマだ。愛らしく見えても性格は凶暴で、避難住民の家に入り込んで糞尿をまき散らす。感染症を媒介するリスクもあり、区域の復興のためには駆除が不可欠だ。

生態を探るため、捕獲したアライグマの追跡調査を続ける福島大学の奥田圭氏は、「今の避難区域は動物たちのテリトリー。そこに人が戻ろうとすれば必ず動物との争いになる」と指摘した。

一方、避難区域では、ペットとして飼われていた動物の野生化も進んでいた。避難区域でイヌやネコの保護活動を続ける53歳の男性は、原発事故の直後に見た、避難する住民と連れていけないペットとのつらい別れのシーンが頭から離れない。

残されたペットが避難区域で繁殖を繰り返す中、人の存在を知らずに産まれたネコは、保護しようした男性に牙を向けて激しく威嚇した。かつて人に愛されていたペットは、今、人々の帰還を妨げる存在になりつつある。

事故から5年、避難指示は次々と解除され、人々の帰還が始まっている。それに伴って、動物たちは居場所を追われようとしているが、その“哭き声”は、どこにも届かない。人だけではなく動物たちもまた、原発事故によって生きる道筋を狂わせられた。カメラがとらえた避難区域の動物たちの5年間を伝える。