香港文匯報(ぶんわいほう)は11月29日の22面で、記者尹樹廣による元日本外交官、現星槎大学共生科学部教授大嶋英一氏のインタビューを掲載した。

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香港文匯報(ぶんわいほう)は11月29日の22面で、記者尹樹廣(イン・シュウグワン)による元日本外交官、現星槎大学共生科学部教授大嶋英一氏のインタビューを掲載した。大嶋教授は日中関係、トランプ氏が米次期大統領就任後の国際関係について分析した。ここで日本語のインタビュー原文を掲載する。(香港文匯報掲載の内容からは一部省略・削除し、掲載しております)

一、安倍首相就任以来、日中関係を未だ正常な道へ戻せないが、G20杭州サミットで習近平主席との会見後、ゆっくり進んでいる。大嶋教授から見れば、日中両国はどうすれば歴史と釣魚島(日本名・尖閣諸島)の問題を乗り越えられる?近いうちの両国の関係にはどう思う?

【大嶋英一】日中関係が悪化したのは安倍政権からではなく民主党政権時代からだ。確かに日中の政治関係は良好ではないが、経済関係は非常に緊密で強固な相互補完関係ができ上がっている。両国関係を考える上でこのことは忘れてはならない。政治関係を改善するためには、一般的に言って双方の国民のナショナリズムを刺激し易いことに対して慎重に対応することが大切だ。だからといって今後の日中関係について私は悲観的ではない。緊密な経済関係を基礎に政治的な相互信頼関係を一歩一歩築いていくべきで、その際重要なことはアジア太平洋地域の平和と安定という大局を忘れないことだ。

二、日本を訪れた中国人観光客が500万を突破し、お互いの理解を深めるが、日本人の中国に対する好感度が低いのは事実。どうすれば信頼を取り戻せる?

【大嶋英一】1972年の国交正常化以降80年代末まで中国に親しみを感じる日本人の比率は80%ほどもあり非常に高いものがあった。しかし、残念なことにその後急速に好感度が落ち現在のようになってしまった。これを短期間に元に戻すことは困難だが、悲観的になる必要はない。私の学生の多くはオーストラリアに一年間留学しているが、帰国後彼等に現地で会った中国人留学生の印象を聞き、将来彼等と一緒にやっていけると思うかと質問したところ、全員がイエスの回答だった。このように人と人の直接の触れ合い、交流がさらに進めば相手国に対する好感度も上昇していくと思う。

三、日本経済は1990年代から約20年停滞を続けている、「失われた20年」とも呼ばれるが、安倍首相の「三本の矢」は的を射ることができるか?

【大嶋英一】確かに20年以上にわたって日本経済は低成長を続けているが、私自身は「失われた20年」とは考えていない。多くの問題を抱えているとはいえ、日本の社会は着実に以前より住みやすくなっているからだ。そもそも人口が減少期に入っているにもかかわらず成長率がプラスであることは驚くべきことだと思う。安倍政権の「三本の矢」政策は、将来世代に重い負担を残す可能性が高く、私自身はその妥当性に懐疑的だ。

四、世界各国の日本に対する好感度が高まる、これは日本の「ソフトパワー」のひとつ。元外交官として見れば、日本の「ソフトパワー」の成功の秘密は何?

【大嶋英一】私は以前韓国に勤務していた時に日本大使館の文化公使を勤めていたが、その時感じたことは、ソフトパワーは政府部門が作ることもできなければ、流行らせることもできないということだ。今から20年ほど前にイタリアを旅行していた時に、ホテルのテレビで日本のアニメがイタリア語で放映されているのを見て驚いたことがあった。それから10年後、日本のアニメは世界中でブレイクした。この例でも分かる通り、ソフトパワーは民間の活動の中から自然に発生してくるものなので、政府ができることはせいぜい民間の活動をやり易くするような環境を整えること位だ。ちなみに私は30年以上前に2年間中国に留学した。当時の中国は今から較べると貧しかったのだが、それにもかかわらず非常に濃厚な文化を感じたことを今でもよく覚えている。中国の社会には将来中国のソフトパワーに繋がる要素が沢山存在していると思う。

五、日本の若者は中国の台頭についてどう思うか?

【大嶋英一】日本の若者の対中観は、実際に中国人に接したことのある者とそうでない者とでは大きく異なっている。中国人と接したことない者の多くは中国の台頭をあまり快く思っていない傾向があるように思えるが、そもそも多くの若者は国外のことに関心をもっていないのではっきりしたことは分からない。中国人に接したことのある者は中国に興味を持ち、将来社会に出たらビジネスの上でも中国が大事になるだろうと考える者が多いように思う。彼等の多くは、中国の台頭はチャンスであると捉えているが、同時に最近の中国の東シナ海、南シナ海での活動や中国政府スポークスマンの発言に違和感を感じ、不安を抱いている面もあるようだ。(提供/人民網日本語版)