深田晃司監督、ヒッチコック論かく語りき「すべての時代に代表作。バケモノみたい」

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 「淵に立つ」の深田晃司監督が12月17日、ドキュメンタリー映画「ヒッチコック/トリュフォー」を上映中の東京・新宿シネマカリテでトークショーを行った。

 フランソワ・トリュフォー監督が、アルフレッド・ヒッチコック監督へのインタビューをまとめ、映画ファンのバイブルとされる「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」をベースに、その音源を再現し、マーティン・スコセッシ、黒沢清ら影響を受けた監督10人の証言などで構成。深田監督は、「トリュフォーの質問が批評的だけれど、それに10人足すことによってヒッチコックが立体的に語られるようになった不思議な映画でしたね」と感想を述べた。

 映画を見始めた中高生の頃からヒッチコック作品に親しみ、「1920年代から70年代まで作り続けて、すべての時代に代表作があるのがすごい。バケモノみたい」とせん望のまな差し。演出に関しても少なからず影響を受けているそうで、「特別トリッキーでもなく、全部が明せきなんです。舗装された歩きやすい道路を歩いていたら、いつの間にか迷路に迷い込んでいる。常に新しいことに挑戦しているし、かくあるべきと思いますね」と分析した。

 その中で「1本と言われたら」と好きな作品として挙げたのが「裏窓」(1954)。「構造自体がスリリング。見ている状況がまるでスクリーンをのぞいているようで、演出も露悪的ではなくスマート。そうしたら本の中でトリュフォーも同じことを言っていて、パクリじゃんと思った」と照れながら明かした。

 「淵に立つ」にも、「レベッカ」(1940)がイメージにあったそうで「ある重要人物(浅野忠信)が途中から出てこなくなって、不在のまま画面を支配させなければならなかった。『レベッカ』も前妻のレベッカは1度も出てこないけれど、存在が覆い続けている面白さがある」と持論を展開。だが、「映画の中で黒沢監督がヒッチコックのマネをしてはいけないと言っていた。やべえ、やべえ」と自ちょう気味に話していた。