北方領土問題で進展がなかった日露首脳会談について、日露接近を表向き静観していた米国は予想通りの結果に冷ややかだ。写真はプーチン大統領訪日の日の都内の電光掲示板。

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2016年12月17日、最大の焦点だった北方領土問題で目に見える成果がないまま終わった日露首脳会談。日露接近を表向き静観していた米国は予想通りの結果に冷ややかだ。安倍晋三首相の思惑を警戒していた中国はロシアとの結束を改めて強調。韓国紙は「外交に穴」と嘆いている。

日露首脳会談について、米国務省のカービー報道官は15日の記者会見で「会談や会談の中身を判断する立場にはない。国家が意味のある対話・議論をし、2国間関係を改善させることは重要だ」と述べるにとどまり、深入りを避けた。

14年のロシアによるウクライナ軍事介入を受けて、国際的な対露経済制裁を主導してきた米国が懸念していたのは、日露の接近で日本が経済制裁を緩和し、G7(先進7カ国)の足並みが乱れることだった。アーネスト大統領報道官も会談前、「日本と他のG7との連帯を疑わない」と言及していた。

日本メディアの中には、トランプ米次期大統領が国務長官にプーチン大統領と親交がある米石油大手エクソンモービルのレックス・ティラーソン会長兼最高経営責任者(CEO)を起用したことに着目、包囲網の切り崩しを狙うプーチン大統領が安倍首相に譲歩する必要がなくなった、との見方もある。

中国外交部の耿爽報道官は16日の記者会見で、安倍首相がロシアとの首脳会談で中国をけん制する思惑を持っているとの見方について、「(中露)両国の全面的戦略協力パートナー関係を引き続き深めていきたい」と述べ、ロシアとの結束は盤石だと強調した。

国営新華社通信は「『ロシアを丸め込んで、中国を包囲する』画策は必然的に失敗に終わる」との記事を配信。この中で「領土問題以外にも、ロシアは日本の修正主義の歴史観、右翼化傾向、地上配備型迎撃システム・高高度防衛ミサイル(THAAD)の導入計画などに強く警戒している」などとして、「画策は片思いの愚かな妄想にすぎない」と非難した。

中国共産党中央委員会機関誌・人民日報の電子版も今回の会談に合わせ、「バラストとしての中ロ戦略的協力」との記事を載せ、両国の親密ぶりをアピールした。記事は「習近平国家主席とプーチン大統領は今年5回もの会談を行っている(注:安倍首相は3回)。このように緊密な首脳間の交流は国際関係においてもまれ」と自賛している。

一方、国政介入事件に揺れる韓国はすっかり“蚊帳の外”だが、韓国経済新聞は「日露首脳会談とロシア極東開発に注目する」との社説を掲載。「ロシアと手を組んで極東シベリア地域の開発を先に約束したパートナーは韓国だった。金大中政権から朴槿恵政権まで極東開発を叫んできた。しかし、韓国は徐々に後回しにされている」と指摘し、「韓国外交の穴があちこちに生じないだろうか」と韓国政府を批判している。(編集/日向)