ニッチ狙いで収益化、ブログ成功のカギは「アドベンチャー・ツーリズム」

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航空機から飛び降りる瞬間に何かをひらめく、というのは一般的ではないが、アドベンチャー・ツーリズム事業を起業したトム・ロジャース(25)とアナ・ファウスティーノの場合はそうだった。

ロジャースはスイスのインターラーケンでスカイダイビングをしていた時、「アドベンチャー・トラベルのウェブサイトの運営者として、オーソリティ(信頼できる情報源)になれると感じた」という。

それが2015年秋のことだった。その5か月前、2人は「アドベンチャー・イン・ユー」というブログを開設。新米ライターである彼らは、既に多くのブロガーがひしめく旅行ブログにおいて注目を集めるには、独特なアングルが必要だということを認識していた。有名な観光地を訪れた記録だけならもう溢れている。

「毎回の食事を写真に撮ってスナップチャットで共有するつもりはなかった」と、ウェールズ出身のロジャースは言う。大学卒業後にインターネット関連のスタートアップ企業で働いた経験がある彼は、ウェブサイトのトラフィック(訪問者数)とブランドを築く方法に通じていた。フィリピン出身の恋人ファウスティーノは腕のいいライターで、2人は完璧な組み合わせだったのだ。

2人は、収益化が難しく既に大勢の競争相手がいる”低予算の旅行”に関するブログではなく、アドベンチャー・ツーリズム事業を立ち上げることにした。ドバイでのスカイダイビングやタイでのハイキングなどについてレビューを行うのだ。

アイデアが浮かんだのは2014年、2人の出会いとなった東南アジアでのバックパック旅行の後だった。まだ旅行サイト立ち上げまでは考えていなかったが、2人はスキューバダイビングやジップライン(木の間に張られたロープを滑車で滑り降りる遊び)についての情報があまりないことに気づいた。レビューがあっても役に立たないか、あちこちのサイトに散在していて、複数のサービスについて安全性や清潔さなどを比較・分析するのは難しかった。

そこで、2015年にサイトを立ち上げるとすぐに、アジア、ヨーロッパとオセアニア各地のアドベンチャーに関するレビューのデータベースを作成した。今ではスタッフを雇えるほどの収益もあり、世界中のレビュアーの協力を得て、コンテンツを増やしている。

今ではアドベンチャー・ツーリズムに関するレビューや記事の数も100近くに達し、同サイトはバックパッカーにとって”訪れるべきサイト”となった。タイのチェンマイの拠点にはフルタイムのスタッフ4人がいる。

ロジャースはチェンマイに拠点を移した理由について、経費の安さとネット環境の良さを挙げる。毎月の生活費は1人当たり600ドル(約7万円)だが、贅沢な食事をしなければ月300ドル(約3万5,000円)でも十分に生活できる。

彼らがビジネスにおいて最も重視しているのは、正直さだ。だから、レビューに対する支払いは受け取らない。通常レビュアーにはアクティビティーが無料で提供されるが、それ以上の支払いは決して受け取らないという。時にはスポンサー付きの記事を書くこともあるが、その際は必ず、スポンサー付きであることを明記する。

この高潔さが彼らの事業の成長に役立ったわけだが、裏を返せば、収益化までの道はほかの旅行ブロガーよりも困難なものだったことを意味する。そのため2人は収益源についてもクリエイティブにならざるを得なかった。

1つのアドベンチャーに関するレビューが500件近くに達すると、企業側にアプローチをかけ、別のキャンペーンでの協力あるいはオンラインプレゼンス(ウェブサイトなど)の開設を持ちかける。レビューは彼らの名刺代わりなのだ。

「自分の旅行についての話をして成功できる時代はもう終わった」とロジャースは言う。「みんな旅行ビジネスを築くのは簡単だと思って、ニッチな部分に十分に目を向けていない」