こうなる前に、早めの対策を

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インフルエンザの流行が本格化している。厚生労働省によると、2016年12月4日までの1週間に全国から報告された患者数は1医療機関あたり平均で2.49人と、流行開始の目安とされる「1」を超え、前の週の1.79人からさらに増えている。特に栃木、千葉など関東での流行の広がりが目立っている。今シーズンは、高齢者が重症化しやすいA香港型が主流とみられ、肺炎を引き起こす恐れがあるため注意が必要だ。

ワクチンは重症化を防ぐ

インフルエンザの予防接種を打つべきか否かについては毎年さまざまな意見が出る。「打たない」派の言い分は、ワクチンとインフルエンザの型が合わなければ、かかってしまう可能性があるため、接種費用の無駄というものだ。

しかし、DAA(アンチエイジング医師団)のメンバーで神戸大学感染症内科教授の岩田健太郎氏によると、
「ワクチンには、その人が持っている免疫力を高める効果があります。免疫力の高まり方には個人差があるので、同じワクチンを打っても、誰でも同様の効果が得られるわけではありません。ですから、ワクチンを接種してもかかりやすい人とかかりにくい人がいるのは確かです。しかし、ワクチンは、打たなかった場合と比べて発症しにくくする、あるいは重症化を防ぐなどといった『相対的なリスクを減らす』役割を果たします」

岩田氏は、とくに妊婦や高齢者、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘息、免疫不全の患者など、重症化しやすい人はなるべく接種するよう勧めている。

また、一昨年まではワクチンの対応するインフルエンザの型が3種類のみだったが、昨年からワクチンがA型株2種類、B型株2種類の計4種類に対応するようになり、カバーできる確率はより高くなっている。あくまでリスクを下げるものであって、接種したから感染リスクがゼロになるというものではないが、心配な人は受けておいた方がいいだろう。ワクチンは生後6か月以上から接種できるが、日本小児科学会では1歳以上からの接種を推奨している。

家族が感染、困ったときの緊急予防策

ワクチンにより感染リスクは減るが、それでもインフルエンザにかかってしまう場合もある。高齢者や持病のある人など重症化するリスクの高い人には、同居する家族がインフルエンザにかかってしまった場合の緊急回避策として、「タミフル」や「リレンザ」が用いられることがある。厚労省は2016年11月24日、タミフルの1歳未満への処方を保険適用の対象とすると発表した。

いずれも一般にインフルエンザの治療薬として知られているが、一定の予防効果も認められている。岩田氏によると「ワクチンと比べて効果が高いわけではなく、予防の度合いをさらに高めるという意味で、ワクチンプラスαの予防策として使われるもの」だという。

ただし、これらの薬剤を予防投与する場合は、インフルエンザを発症した人と同居または共同生活をしていることを前提に、基礎疾患など一定のリスクが高い人が特に対象となる。条件を満たしたうえで、最終的には医師の判断が必要だ。「どうしても感染するわけにはいかない人」は、医師に相談するのも一つの方法だ。

もちろん、普段からうがい、手洗いはこまめに念入りに行い、栄養バランスのよい食事を心がけ、不要な外出を控える、マスクをするなど、自分でできる対策を万全にすることも忘れてはならない。[監修:岩田健太郎 神戸大学感染症内科教授]

医師・専門家が監修「Aging Style」