ラケット競技で長生きできる!?(shutterstock.com)

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 今夏のリオ五輪では、バドミントンの女子ダブルスで郄橋礼華・松友美佐紀ペアが堂々の金メダルを獲得。卓球の男子団体で水谷隼・丹羽孝希・吉村真晴トリオが銀に輝き、水谷選手はシングルスでも銅を手にした。

 同じく銅メダルの顔ぶれを思い出せば、テニスの男子シングルで錦織圭選手が。卓球の女子団体では福原愛・石川佳純・伊藤美誠トリオが、バドミントンの女子シングルスでも奥原希望選手が健闘するなど、「ラケット競技」の大活躍ぶりが目立った。

 彼らメダリストの雄姿が各競技の普及に及ぼす好影響は計り知れない。さらに「ラケット競技」人気の追い風になる新たな知見が豪州から届いたので紹介しておこう。

死亡リスク回避では<ラケット系>が優位

 あなたがもし長生きを望むのであれば、ラケットを使うスポーツが有効である可能性が高い――。

 11月28日の『British Journal of Sports Medicine』(オンライン版)に、そんな興味深い研究を報告したのは、豪シドニー大学准教授のEmmanuel Stamatakis氏ら。

 Stamatakis氏らの研究対象は、イングランドとスコットランドに在住する30歳以上の成人男女8万人(平均年齢52歳)という広範囲な規模で実施された。さらに15年間(1994〜2008年)の歳月を費やして情報収集している。結果は傾聴に値するだろう。

 この解析で判明した特筆事項がまず、バトミントンやスカッシュ、テニスや卓球などの「ラケットを使うスポーツ」を行なう層では、「全原因死亡リスク」が約50%も低かったという事実だ。また、「心疾患」による死亡リスクも56%低かった。

ラケット系スポーツの健康メリット

 ラケット系スポーツの健康面でのメリットとはなんだろうか? 一見、入門の敷居が高いと思われがちなテニスを例に、その先入観を覆す利点のほうを列記してみるとわかりやすいかもしれない。

 まず、個人指導を受ける勇気を一歩踏み出せば、テニスは一人からでも始められる点だ。草野球やフットサルなどの場合はともかく人数集めが最初の課題となるが、テニスはコーチ相手から始めて、ダブルスでも計4人、愛好者層も幅広いので仲間を見つけやすい利点がある。

 愛好者層が広いというのは、水泳と同じように「運動強度」が個人に応じて調整可能であるからだ。聞けば、トップ級の女子テニス選手の場合は3セットでおよそ50km以上を走るそうだ。

 しかし、一般人はあくまでも身幅で愉しめばいい。競技的にも危険な接触プレーがないぶん、ケガも少ない生涯スポーツといえるだろう。

 また、利き腕以外も駆使するフォアハンドやバックハンドは全身のバランス感覚を磨く。スイング→ラン→ストップの連続運動が心肺機能を向上させ、相手を攻略する戦法が脳を活性化させ、上手くハマれば大きな満足とストレス解消を得られる。

 似て非なる競技にして、温泉ピンポンからマイラケット購入の本格派まで幅広い人気がある卓球の場合、室内で「天候に左右されない」ぶん、いつでもカラダを動かしたい人には最適だろう。
ラケット競技以外にも注目に値するスポーツが!

 先の論文でStamatakis氏は、以下のように言及している。

 「今回の私たちの知見は、個人の運動量やその頻度だけではなく、スポーツの種目によっても差が生じることを示唆しています。ラケット競技の優位性が示しているとおり、特定のスポーツへの参加は健康面でさまざまな恩恵をもたらす可能性が高いといえる」

 ちなみに、彼らの研究で因果関係が証明されたわけではない。だが、前掲のラケット競技以外(水泳とエアロビクス)でも、全原因による早期死亡リスクが約30%低下と関連づけられる結果を得られた。

 ほかにも<自転車を漕ぐ人たち>は、早期死亡リスクが15%低い結果がはじき出された。なかでも心疾患による死亡リスクに関しては、水泳を嗜む層では41%、エアロビクスで汗を流す層では36%低下という数値が注目に値する。

 「既存のエビデンス(科学的根拠)を用いた私たちの観察結果は、今後、スポーツ業界や健康促進用の運動プログラム、あるいは一般的な身体活動を企画・実施する多くのセクターにとって一つの支援材料になるはずだと自負している」(同氏・談)

 今夏のリオ五輪での熱闘に魅せられ、思わず「バド、やるぞ!」と密かに決意したものの、いまだに一歩を踏み出せてはいない方々。きっかけは一つの感動や共感、いいや「最初はカッコ(良さ)から」でも、始めてみてはいかが。
(文=編集部)