オイシックス社長 高島宏平氏●1998年、東大大学院工学系研究科修了、マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社入社。2000年オイシックス設立。

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「ごめんなさい。差し支えのない情報は書いていないもので……」

手帳の中身を見たいという依頼は、やんわりと断られた。そう答えたのは、食材宅配の雄・オイシックスの高島宏平社長。それだけ重要な情報が手帳に詰まっているということだ。一体、何が記されているのか。

スケジュールは会社で共有するスケジューラーを利用する一方、「この本を読みきる」「この計画を作る」といった具体的な作業や時間の使い方は手帳に記載。見開きのウイークリーを広げ、日々の業務を月曜の左の空欄、しっかり考えるべき課題を土曜の欄に書きこみ、終わった項目には○印をつけていく。時間管理はその日ごとにモードを分けることで、集中力、思考力を高める。

「短いミーティングで次々指示や承認をした後、長時間のクリエーティブな会議をすると、ペースがつかみにくい。だからこの日は30分の会議を何個も入れる日、この日は2時間の会議をいくつか入れる日と、テーマごとに分けています」

スケジュール管理以外でも、手帳を重宝する。読書や会食した際、仕事にかかわらず心に響いた文章や言葉をメモ。最近、感銘を受けた書籍は「詩人が経営者的なことを、学者が哲学的なことを発言するのが興味深かった」という小林秀雄の対話集。経営書ではなく、人文系である。

「ここ数年、小説やエッセイでメモするようになりました。書きためたメモは切って翌年の手帳に挟み、考え事をするときに見返したりします」

読み返すのは、仕事に関連する情報を書き留めるノートも同様だ。かつて勤めていたマッキンゼー時代から同じタイプのノートを使用し、現在60冊目に。そしてノートを全部書き終えたとき、2つの作業を行う。ひとつは大事な内容が残っていないか見返し、申し送りを書くこと。もうひとつは重要なページのコピーだ。

「字を書きながら考え事をしてることが多いせいか、自分の字を見ると当時の気持ちや課題に早く戻れるんです。だから重要なページや、今後も参考にしそうなページを選んでコピーし、ファイリングしていますね」

「仕事はいかに素早くモードを切り替えるかが勝負」と語る高島社長にとってノートはスイッチ。貴重な時短ツールになっているに違いない。

【POINT1】「報告・承認だけこなす日」「アイデアを出し続ける日」に分ける

【POINT2】仕事に直接関係しない読書記録は手帳に
小説や経営者の伝記など、仕事以前の人間を高めてくれる読書の記録は、手帳のフリースペースに残す。時間が空いたときに読み返している。

【POINT3】次のノートへ移るときは「申し送り事項」を書く
仕事のメモは大判ノートに。処理しきれなかった案件は「申し送り事項」として記録を残すことで、ノートが替わっても案件を確実に引き継げる。

【POINT4】愛用のノートは60代目に
マッキンゼー時代から愛用するノートは現在60冊目に。過去のノートも頻繁に見返し、そのたび気付いたことは違う色で記入することに決めている。

(村上 敬、鈴木 工=文 澁谷高晴=撮影)