蒼井優「私にもこじらせていた時期があって、やたら植物とか育ててました」

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 蒼井優さんが『百万円と苦虫女』以来の主演を務める『アズミ・ハルコは行方不明』が公開中です。

 山内マリコさんの小説を映画化した本作で、突如、失踪してしまう27歳独身の会社員、安曇春子を演じた蒼井さんにインタビュー。蒼井さんも30歳を手前に自身をこじらせた経験があり、春子に共感どころか“共鳴”したと語ってくれました。

◆主人公の春子に、共感以上の“共鳴”

――映画は時間軸が混ざり合った構成になっていますね。

蒼井:はい。台本の時点でそうでしたが、撮影後の編集の段階でも変更があったようです。演じているときは自分のパートだけだから、時間軸がどうとか迷ったりしません。いろんなエピソードが入っているので、確かに入り組んだ印象もあるかもしれませんが、もっとぐちゃぐちゃでもよかったのかなとも。でも結果、この出来上がりが一番いいバランスなんだろうなと思いました。時間軸がぐちゃぐちゃだからこそ、放出されるエネルギーが確実にあると感じましたね。

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――最初に台本を読まれたときの率直な感想は?

蒼井:仕上がりが想像できないからこそ、おもしろいと思いました。それを自分と同じ年の松居(大悟)監督と枝見(洋子)プロデューサーと3人でできる。この3人だからこそ挑戦できる企画なんじゃないかと。

――完成形が見えないからこそ、楽しみだと。

蒼井:まだ守りに入る年じゃないぞと言われているような感じがしました(笑)。

――演じた主人公の春子像に共感は?

蒼井:すごくできました、というか、“共鳴”しました。作品を観てくれた友達と話しても、自分の中に春子がいるって言うんです。ああいうダサい、うじうじした、だけど何かを諦めきれない自分がいると。それは私もそうです。

◆蒼井優自身にもこじらせた時期があった?

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――春子は年齢を意識している女性です。27歳を経験したご自身が演じられてよかったと思いますか?

蒼井:思いますね。山内さんも30歳を超えてこの作品を書かれたらしいんです。30歳手前の女子の3年くらいを、私は“第二思春期”って呼んでいて。女友達と第二思春期について話すことも多いんです。山内さんも第二思春期を終えたときに、忘れないうちにこの時期について書かなきゃ! とハッと気づいて、一気に書かれたそうなんです。第二思春期あるあるが詰まった作品だなと思いました。

 第一次の思春期は将来を考えて漠然と不安になったりしていたのが、第二次の思春期というのは、後ろも振り返り始めるんですよ。振り返ってもしょうがないし、前を向いていればいいのに、あのときの私はなんで最強だったんだろう、無敵だったんだろうとか。考えてもしょうがないことを考え始めたりする。

 実際、これがこじらせるってことかっていうくらい、私もこじらせていたので(苦笑)。やたらめったら植物を育て始めたり、ずっと土いじりしてたり。だから春子のあのぐるぐる同じところで回っている感じは、すごく分かる。というか、私も経験しているんです。

◆自分を受け入れないと、何も始まらない

――ご自身の顔がグラフィックアートとして作中にたくさん登場しています。

蒼井:あんなに使われると思ってなくて(苦笑)。何用だと思って撮ったんだろう。すごく気の抜けた顔してて、角度とか、もうちょっと頑張れたかもと思いましたけど。まあでも、諦めました。自分の造形は、もとの骨のつくりがそんなに華やかなタイプではないから、別方向の方が活かせるだろうと、華やかさよりも地味さを楽しみたいなと思うようになりましたね。造形がきれいなことってそんなに大切じゃない、という逃げ道を見つけました(笑)。

――自分の造形を好きになれた。

蒼井:好きにはならないけど。きれいな人を見たらポッとなりますし。あんな顔に生まれていたら人生違うだろうなと思います。でも自分の持って生まれたものは認めてあげないと、誰も認めてくれないぞと思っていて。好きと認めるとはちょっと違うと思いますが、受け入れないと何も始まらない気がしています。

――最後にお気に入りのシーンを教えてください。

蒼井:自分のシーンではないんですが、終盤、いろんな年代の女性がいっぱい出てくるシーンがあるんです。あのシーンを観て、この映画を作ってよかったなと感じました。世のすべての女性に捧げるという感じがすごく出ていて。松居監督の女性リスペクトが詰まっていると思います。

<TEXT&PHOTO/望月ふみ>

『アズミ・ハルコは行方不明』は12月3日より新宿武蔵野館ほかにて全国公開
配給:ファントム・フィルム
(C) 2016「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会