「人権問題ふれないで」ミスワールド事務局、カナダ代表の言論を制限(Anastasia Lin)

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 世界の美女の素晴らしさを披露する舞台が、中国共産党の「検閲つき」大会に成り下がろうとしている。

 昨年、世界三大美女コンテストである「ミス・ワールド」カナダ代表に選出された女優で人権活動家アナスタシア・リンさんは、中国当局によって、同国海南島の三亜で開かれた決勝戦へ出席することを拒まれた唯一の出場者として知られる。

 この「償い」として、ロンドン拠点のミス・ワールドの大会事務局は、アナスタシアさんが今月18日、米ワシントンD.C.で開催される今年の決勝にカナダ代表として参加するのを認めると発表した。しかし、「人権問題に触れない」との制限があるという。ニューヨーク・タイムスの取材に、アナスタシアさんの親せきや友人が答えた。

 この条件は、「声なき人の声になる」をモットーとし、人権活動を評価されカナダ代表に選ばれたアナスタシアさんが大会に出場する意味そのものを、無力化しかねない。

 昨年の大会で、アナスタシアさんは、中国へ入国ビザを与えられないただ一人の代表者だった。彼女は香港経由で三亜入りを試みたが、香港当局は、彼女が同地行き飛行機へ搭乗するのを拒んだ。主催者側は意図的にアナスタシアさんの出場を阻んだ結果となった。

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 2003年以後、三亜では6回も決勝戦が行われており、中国資本が濃厚であることもうかがえる。中国国内メディアによると、現地政府は大会開催のためのインフラ拡充に2億1500万元(約36億円)を投じたと伝えている。

 今年のミス・ワールド決勝戦は18日にライブ中継され、10億人が視聴すると推測されている。

 

2015年12月18日、米記者クラブで、ミスワールド決勝大会へ出場を試みたが、果たせなかった経緯や、大会で予定していたスピーチ内容について説明するアナスタシア・リンさん (Lisa Fan/Epoch Times)

主演映画のプレミアも出席阻まれ 

 

 英タイムスの取材に答えたアナスタシアさんの友人の話では、13日、米国ワシントンで行われたアナスタシアさん主演映画『最前線』のプレミア試写会にも、何らかの妨害があり、本人は出席できなかったという。映画は、中国国内の収容所で、囚人から本人の許可なく臓器が組織的に収奪されているという、国際調査による証拠に基づき作成された映画。

 また、伝えられるところでは、ミス・ワールド主催者側は、大会参加者一団が米国国務省を訪問して官僚と面会する際、アナスタシアさんが「事務局のルール」に従わなければ参加できないと忠告しているという。

メディア取材に妨害 封じられる美しき「声なき声」代弁者

 ニューヨーク・タイムスに答えた同じ親戚によると、この2〜3週間、アナスタシアさんに対するメディアの取材が組織的に阻まれているという。

 厳しい取材規制の模様を、このたび、彼女への短い取材を行ったボストン・グローブの評論家ジェフ・ジャコビー氏が同紙で伝えている。ジャコビー氏によると、カナダ代表であるアナスタシアさんへの取材には、大会側の許可が必要だが、許可がなかなか下りなかったため、ホテルのロビーという公開された場所で数分間、秘密の取材を行った。

 ジャコビー氏は「(事務局は)代表者の話を(メディアに)聞いてほしいと願っているはずだが、事務局は数週間、アナスタシアへの質問を妨害し続けている」と同紙に書いている。

 ジャコビー氏によると、数分のアナスタシアさんとの会話ののち、大会関係者が会話内容の説明を求めに来た。アナスタシアさんが、メディアのインタビューに答えていると回答すると、すぐさま別の3人が駆け寄り、会話を中断し、解散するよう強要してきたという。

 数分のインタビューのなかで、アナスタシアさんは「(事務局の)ルールに従うつもりです」と答えたものの、「私はドレスや髪型に興味はないのです。ただ黙らされている人々の声になるためにステージにあがりたい」と、本音を語ったという。

(翻訳編集・佐渡 道世)