大統領がなぜ怪しげな宗教者の言いなりとなったのか

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 朴槿恵大統領が親友を国政に介入させたスキャンダルは、ネットを中心に「ムーダン疑惑」として嘲笑されている。韓国の伝統的な霊媒・占い師であるムーダン以上に、風水信仰も現実政治に影響を与えている。それらの「信仰」は、韓国社会にどんな影響を及ぼしているのか、朴大統領はなぜ「ムーダン疑惑」をかけられているのか、産経新聞ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が解説する。

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 金泳三政権(1993-1998年)は「風水共和国」と皮肉られたことがある。愛国キャンペーンとして展開した“日帝風水謀略清算”がそうだ。「日帝が韓民族の精気を絶つため韓国各地の名山に打ち込んだ鉄杭」を、政府組織を総動員して引っこ抜いたのだ。「名山に民族精気が宿る」というのが風水信仰だ。

 日本統治時代の近代化作業(?)として、観測施設や登山施設などに使われた鉄杭に対する“反日言いがかり”だったが、愛国キャンペーンだったため、世論には表立った批判も反対もなかった。この“日帝風水謀略説”は今なお信じられていて、マスコミ報道でも当然のように登場する。

 こんな風水信仰が通用する社会なので、朴槿恵大統領を巡るムーダン信仰説も結構もてはやされる。ただ、そんなウワサの流布も、記者をはじめ人に会いたがらない日ごろの“秘密主義”のツケである。彼女にとって「コンジュ(公主=姫)」と称された閉鎖的人間関係が禍根になった。

※SAPIO2017年1月号