塩田監督&間宮夕貴が明かす“アクロバティックなセックス”の作り方とは?

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塩田明彦監督が、『風に濡れた女』(12月17日公開)で初めてのロマンポルノ作品に挑んだ。本作で野性味あふれる魅力と潔い脱ぎっぷりを披露しているのが、女優・間宮夕貴だ。男女の性をめぐる攻防戦を描く物語だが、大きな見どころはプロレスさながらの濡れ場。塩田監督と間宮にインタビューし、“格闘技的セックスシーン”の出来上がる過程について話を聞いた。

【写真を見る】激しいファイトからセックスへ!野性味あふれる魅力と潔い脱ぎっぷりを披露した女優・間宮夕貴

過去から逃げるように山小屋で暮らす男・高介(永岡佑)が、ある日、ミステリアスな女性・汐里(間宮)と遭遇。「アンタは私にロックオンされたんだ。逃げられると思うなよ」と言い放ち、野良犬のように高介にまとわりつく汐里。彼女を拒み続けてきた高介が、次第に欲望の渦へと巻き込まれていく様が軽妙に綴られていく。

塩田監督は「セックスは本能。肉体と肉体のぶつかり合いを描きたかった」という思いを込めて脚本作りに臨んだ。「荒ぶる自然の物語。人間代表が永岡くんで、自然代表が間宮さん。『人間vs.自然の凄絶な戦いが今、幕を開けた』という感じにしたいと思っていました」。

「荒ぶる」という言葉通り、高介と汐里の「やるか、やらないか」の駆け引きは徐々にヒートアップ。間宮は「『常に頂点にいる気持ちで』と言われて。モノ、人物、すべてのトップは自分だという気持ちでいてくださいと言われました」と塩田監督からの言葉を述懐。塩田監督も「そうそう、すべてを見下す感じ(笑)。汐里は、誰にも頭を下げてはいけない」と、“上から目線”の野性味あふれる女性像を求めていたと言う。

汐里が高介にビンタをしたり、脚で首をしめたりと激しいファイトから、セックスへとなだれこむシーンは、プロレスさながらの白熱ぶりで実に面白い。塩田監督は「ある程度のプランは僕が作りました。あとは永岡さんがアクションに詳しいので、見た目はものすごく痛そうだけど、でも実はそんなには痛くない蹴り方とかを教えてくれて。でも痛くないビンタのされ方は知らなかったみたいですね。本当に殴られていました」と振り返る。

間宮は「あれは永岡さんが悪いんです!」と笑い、「本番前に、永岡さんが『本当にビンタをしないと、見ている方にもわかってしまう。ちゃんとビンタしないとダメだよ』というお話をしていて。私は『わかりました』と言って、本気でビンタをしたんです。そうしたらすごいビックリした顔をしていて」と痛烈ビンタについて説明。塩田監督は「その間宮さんを見た時に、『ああ、この人は世界の頂点に立ったんだなと』。『望み通り、この人は自然界で一番偉い人になっているな』と思いました」と間宮の熱演に大満足だ。

さらに塩田監督は「段取りを作るだけでは生き生きとしない」と濡れ場の演出について解説。「もちろん計画は立てているんだけど、その瞬間に役者がいかに段取りを超えて動けるかに尽きるんです。そういう意味では永岡さんと間宮さんは最高に合っていましたね。どこか駆け引きをしてて、お互いに主導権を握ろうとしていた。永岡さんは、役柄としては組み敷かれる方でも、自分がリードして組み敷かれたいと思っている。それって役者の本能なんですよ」。

間宮は「戦いましたね。私はもともと負けず嫌いなんですが、今回はそれがふんだんに出たと思います。『絶対に負けたくない!負けてたまるか!』と思っていました。組み敷かれたら、やり返す(笑)。ゴロゴロとしていましたね」とお互いに、役柄と見事にマッチした闘争心が出てきたと話す。「本能がぐんぐん出てきて、最後は本能のままに演じていました。この役をやっている時だけ、何もかも忘れていいんだなと思えました」。

本能むき出しの姿を見事にとらえた本作。第69回ロカルノ映画祭の国際コンペティション部門にも選出されたが、塩田監督は「ロカルノでは、観客の女性たちが最初は恥ずかしそうにしていながら、最後は『行け、行けー!』となっていましたね。みなさん、勝ち誇った顔で帰って行きました」と明かし、「単にやらしい気持ちになるとか、ならないではなくて、『人生は何でもアリなんだ!』という開放感を味わってほしい」とアピールしていた。【取材・文/成田おり枝】