ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

写真拡大

田中は「最も過小評価されている先発右腕」、米メディア絶賛「違いを生み出す存在」

 ヤンキース田中将大投手が、メジャーで「最も過小評価されている先発右腕」として取り上げられている。今季、渡米3年目で自己最高の成績を収め、名門球団のエースとしての立場を確立したが、米CBSスポーツ電子版は「どうすればこんなことが起こるんだ?」と田中の評価が低いことを“問題視”。今オフにホワイトソックスからレッドソックスへとトレード移籍したメジャーのスーパーエース級の実力左腕、クリス・セールにも「肩を並べる存在」と絶賛している。

 CBSスポーツは「2016年、それぞれのポジションで最も過小評価されていた選手たち」と題した特集記事を掲載。DHを含めた野手の各ポジションに、先発左腕、先発右腕、救援投手を加えた13人を選出している。「先発右腕」部門で登場するのが田中だ。

 2014年に楽天からヤンキースにポスティングシステム(入札制度)で移籍した日本人右腕は3年目の今季、31試合に登板して14勝4敗、リーグ3位の防御率3.07、同5位のWHIP(1イニングあたりの被安打+与四球)1.007をマーク。右前腕部の張りを訴えたシーズン最終盤に大事を取って登板を2度回避したが、投球回数も大台200イニングにあと1イニングに迫る199イニングまで積み上げた。

 ただ、田中は「過小評価」されていると、記事では指摘。寸評では「どうすればこんなことが起こるんだ? ヤンキー(ヤンキースの選手)が過小評価? なんてことだ。しかし、あなたはタナカがア・リーグで防御率3位、WHIP5位であったことを知っていましたか?」とした上で、日本人エースがいかにチームを勝たせることの出来る投手であるかを強調している。

田中が先発しなければヤンキースは負け越し!?

「プレーオフを逃したヤンキースは、タナカが先発すると23勝8敗、それ以外では61勝70敗であった。球界におけるディファレンス・メーカー(違いを生み出す存在)と言える。例を出せば、クリス・セールの先発時のホワイトソックスは18勝14敗、セールの防御率(3.34)はタナカより悪い。これは決してタナカがセールより優れている、ということではないが、ほとんどの人はタナカがセールに肩を並べる存在だとは考えもしていないような気がする」

 ヤンキースは今季、84勝78敗と貯金6でシーズンを終え、プレーオフ進出を逃した。しかし、田中が先発した以外の試合では、実は借金9という成績だったことを記事では紹介。逆に、田中の先発ゲームでは15もの貯金を作ったという。今季開幕直後は好投しても白星がつかず、14勝でシーズンを終えたが、しっかりと試合を作ってチームに貢献していたことが分かる。セールといえばメジャー屈指の左腕だが、田中も同様の評価をされるべき存在だという。

 田中については、11月中旬にも米メディア「ファンラグ・スポーツ」が「マサヒロ・タナカはたびたび見落とされ、正当に評価されていない」との見出しで特集記事を掲載。「タナカはヤンキース、そして野球ファン両方に見過ごされている。おかしいじゃないか。でも、これが真実だ」などと痛烈に“批判”していた。

来オフ契約破棄ならば年俸30億超の可能性は高い

 来季は7年総額1億5500万ドル(約178億円)の契約の4年目を迎える田中。ただ、シーズン終了後には契約破棄してFAになれるオプトアウトの権利を持っている。来季以降は19年まで1年2200万ドル(約25億3000万円)、20年のみ2300万ドル(約26億4500万円)の契約を結んでいるが、現在のメジャーでスーパーエース級の投手は年平均3000万ドル(約34億6000万円)以上の年俸を手にするようになっている。田中が2017年も今季同様の成績を残し、オプトアウトすれば、“大台”に達する可能性は高い。

 なお、その他のポジションで「過小評価」とされた選手は、以下の通りとなっている。

捕手 J・T・リアルミュート(マーリンズ)
一塁手 フレディー・フリーマン(ブレーブス)
二塁手 ジーン・セグラ(ダイヤモンドバックス→マリナーズ)
遊撃手 ジョナサン・ビラ(ブレーブス)
三塁手 カイル・シーガー(マリナーズ)
左翼手 スターリング・マルテ(パイレーツ)
中堅手 オドゥベル・ヘレーラ(フィリーズ)
右翼手 アダム・イートン(ホワイトソックス→ナショナルズ)
DH クリス・デービス(アスレチックス)
先発左腕 ホセ・キンタナ(ホワイトソックス)
救援投手 カイル・バラクロウ(マーリンズ)