フェイスブック傘下の仮想現実(VR)企業であるオキュラスVRは12月13日、組織再編に伴いブレンダン・アイライブ最高経営責任者(CEO)が辞任すると発表した。

「新たなリーダーを探す」

 これはアイライブ氏が同日付の公式ブログへの投稿で明らかにしたもの。これによると、オキュラスVRでは、今後「PC VR部門」と「モバイルVR部門」を設置する計画。

 それに伴い、アイライブ現CEOは、前者のPC VR部門を率いる役職に就き、主力製品であるVRゲーム用ヘッドセット「Oculus Rift」に関連する製品の開発と、コンピュータビジョンの研究事業を監督するという。

 一方で、モバイルVR部門の責任者には、今夏にソフトウエア責任者として入社した、米アマゾン・ドットコム出身のジョン・トマソン氏が就く。

 アイライブ現CEOの異動により、しばらくCEOが不在になるが、今後同氏とトマソン氏、そして最高技術責任者(CTO)のマイク・シュロプファー氏の3人で、同社を率いる新たなリーダーを探すとしている。

 ただし、この新たなリーダーの肩書はCEOではないものになると、オキュラスVRの広報担当者は述べていると米ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

FB傘下企業で異例のトップ異動

 同紙によると、フェイスブックが買収した企業で、こうしたトップ人事の見直しがあるのは珍しいこと。

 例えば、フェイスブックは2012年に約10億ドル(約1150億円)で、写真共有アプリの米インスタグラムを買収、2014年には約220億ドル(約2兆5300億円)でメッセージアプリの米ワッツアップを買収したが、これらの創業者は今も買収時と同じ役職に就いている。

 そしてフェイスブックは2014年に約20億ドル(約2300億円)でオキュラスVRを買収したが、アイライブ氏は共同創業者の1人であり、買収時もCEOを務めていた人物だ。

 今回のCEO辞任の発表は、オキュラスVRにとって困難続きだった1年を締めくくるものになったとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 同社は今年3月に前述のVRゲーム用ヘッドセット、Oculus Riftを立ち上げたが、この製品は出荷に遅れが生じ、早期予約注文分の発送が終わったのは7月のことだった。

 これに加え同社は、ライバルである台湾HTC(宏達国際電子)やソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)との競争にも直面している。またオキュラスのヘッドセットには、対応するゲームにヒット作品がなく、消費者へのアピール力が弱いとウォールストリート・ジャーナルの記事は指摘している。

VRヘッドセット市場、首位はソニー

 なお、VRやAR(拡張現実)用のハードウエア製品には、次ぎの3種類があると言われている。

 1つは、スマートフォンを組み込み、その画面をディスプレーとして使用する「スクリーンレス・ビューワー」で、韓国サムスン電子の「Gear VR」や米グーグルの「Daydream View」がこれに当たる。

 2つ目はパソコンやゲーム機などと接続し、その処理性能をこれら外部機器に依存する「テザードHMD(ヘッドマウントディスプレー)」で、Oculus RiftやHTCのVive、ソニーのPlayStation VRなどがその代表的な製品。

 3つ目は米マイクロソフトのHoloLensのように、専用チップとOS(基本ソフト)を搭載し、単体で動作する「スタンドアロンHMD」。

 英国の市場調査会社カナリス(Canalys)が12日に公表したリポートによると、このうち最も出荷台数が多いのは、2つ目のテザードHMD。

 その2016年における推計出荷台数は約200万台。内訳は、ソニーのPlayStation VRが約80万台で最も多く、これに、HTC Viveの約50万台、Oculus Riftの約40万台が続くとカナリスは報告している。 

筆者:小久保 重信