ザ・ローリング・ストーンズとマーティン・スコセッシ監督(中央)

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 巨匠マーティン・スコセッシの回顧展が、ニューヨークの映像博物館で2016年12月11日から2017年4月23日(現地時間)まで開催され、その全貌が明らかになった。

 回顧展は、同博物館ではスコセッシの音楽関連が展示される2階から始まる。まず目につくのはスコセッシが子供の頃から収集していたレコード展示で、その中には彼の好みの楽曲や実際に映画で使用された楽曲も含まれている。

 さらに歌手マイケル・ジャクソンさんの楽曲「Bad」のミュージックビデオを手掛けたときの写真や、マイケルさんの感謝の手紙などが置かれている。そして、ミュージカル『ニューヨーク・ニューヨーク』の、スコセッシが思いを記した脚本も読むことができ、彼の繊細な観点が垣間見える。

 続いて3階の「Family」のコーナーでは、スコセッシが子供の頃にニューヨークのクイーンズで過ごした実家のテーブルや椅子などの家具が展示され、その横には彼の両親、祖父母、娘との写真が置かれ、家族を大切にする人柄がうかがえた。その後方の「Brothers」では長年タッグを組んできた俳優ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシとの写真が展示され、彼らとの意見交換による製作過程がその写真から感じ取れた。また、「Men and Women」には、『明日に処刑を…』のラブシーンや『ミーン・ストリート』のベッドシーンの絵コンテが飾られ、スコセッシの男女間のやりとりの演出も興味深い。

 「Lonely Heroes」では、『タクシードライバー』の名シーン「Are you talking to me?」の映像や、『レイジング・ブル』のボクサーグラブなどが置かれ、誰もが持つ孤独感やアンチヒーロー的な男たちへの憧れを感じ取れた。さらに「New York」ではニューヨークが舞台となったロケーションの写真や、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の豪邸写真が展示され、スコセッシのニューヨーク愛に感心させられる。

 「Cinephile」では、スコセッシが影響を受けた故フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』や、故マイケル・パウエル監督の『赤い靴』のポスターなどから彼の好みがわかる。その他に「Cinematography」には撮影中のカメラ移動を記したデザイン写真があり、「Editing」には長年タッグを組んだ編集者セルマ・スクーンメイカーがシーンを番号順に記した編集早見表や編集用の絵コンテが置かれ、編集へのこだわりが見て取れる。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)