5歳の少年、サンタの腕の中で永遠の眠りに(出典:http://www.mirror.co.uk)

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子供たちにとって、サンタクロースは願いごとを叶えてくれる特別な存在だ。そしてこの時期、多くの子供たちと触れ合うサンタ自身も子供たちのために重要な役どころを担っている。一緒に記念写真を撮ったりプレゼントを与えたりすること以外に、サンタの存在は子供たちの心に根付き思い出として残っていく。このほど一人のサンタがある子供との特別な場面に遭遇したことが各紙で報じられ、人々の涙を誘っている。

米テネシー州で普段は機械技師として働いているエリック・シュミット=マッツェンさん(60)は、トレーニングを受けたプロのサンタだ。身長182cm、体重140kgと大柄な彼は、かつて髭コンテストで優勝したほど見た目もサンタに相応しい。毎年クリスマスの時期になると、エリックさんは80ほどのイベントに参加し子供たちと触れ合っているという。

数週間前のこと、エリックさんが仕事を終えて帰宅した直後に急な呼び出しがあった。ところがそれはイベント会場からではなく、知人である看護師が勤務している病院からだった。「重症の5歳の子供がサンタに会いたがっている。来てくれないか」という要請にエリックさんは「わかった。サンタの衣装に着替えて行くよ」と返事をしたものの、看護師は「もう時間がないんです。サスペンダーだけ付けてきてくれれば十分。今すぐに来てほしい」と伝えて来た。エリックさんは、事態が深刻であることを悟りすぐに病院へ駆けつけたという。

15分後に到着したエリックさんは、5歳の子供の母親とその家族からテレビ番組「パウ・パトロール(PAW Patrol)」のおもちゃを息子に渡してほしいと頼まれた。エリックさんは「申し訳ないが部屋の外に出ていてほしい。あなたたちが泣いてしまえば、きっと私も取り乱してしまうだろう。そうなればちゃんと息子さんと触れ合うことができなくなってしまう」と家族にお願いした。

集中治療室に入ると、横たわっている男の子の姿が見えた。あまりにも弱々しくすぐにでも眠ってしまいそうな様子だったが、その子のそばでエリックさんは声をかけた。

「君はサンタのナンバーワンエルフ(妖精)なのだから、クリスマスを見逃しちゃいけないよ。」

“サンタ・エリック”からプレゼントを受け取った男の子は、包み紙を破ることさえも力が入らずに必死だったが、中身を知ると笑顔を見せた。そしてエリックさんにこのように尋ねたのだ。

「みんな、僕がもう助からないって言ってるんだ。どうやったら僕は死んだことがわかるの?」

エリックさんは「君がそこに行って、『僕はサンタのナンバーワンエルフだよ』って伝えればいいんだよ」と言うと、男の子はこう告げた。

「サンタ、僕を助けてくれる?」

いたたまれなくなったエリックさんは、男の子を腕に抱き締めた。エリックさんが言葉を発する前に男の子はエリックさんの腕の中で息を引き取り、それが最期の言葉となってしまった。

外で様子を見ていた男の子の母親は、すぐに部屋に入り「まだよ、まだ逝かないで!」と泣き叫んだ。エリックさんは悲しみをこらえながら母親に男の子を引き渡し、すぐに病室を出たそうだ。

エリックさんは第75レンジャー連隊として米陸軍に4年間所属していたことがあり、その時にも悲劇をたくさん見て来たという。しかし今回の出来事はあまりにも悲しく、病院を出た途端に涙を抑えることができなかったと話している。

翌日、妻と一緒に孫たちのところを訪れる予定だったエリックさんだが、亡くなった男の子のことを思うとそれもできず結局、妻が一人で向かったそうだ。

サンタを演じることは決して容易ではない。幼い子供の死というものに直面したエリックさんは、数週間は立ち直ることができなかったという。サンタをやめてしまおうとも考えたが、自分がサンタを演じることによって多くの子供たちに笑顔が溢れる。だからこそ、サンタを続けていかなければならないと言い聞かせたそうだ。

たった5年という短い命ではあったが、エリックさんの腕の中で永遠の眠りについた男の子は、今はサンタのナンバーワンエルフとなって天国でクリスマスを迎えていると信じたい。

出典:http://www.mirror.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)